フルキャストと並び日雇い派遣最大手グッドウィルが、7月末で廃業する。
グッドウィル幹部ら逮捕 「三重」「四重」ざらに… 低い順法意識、業界覆う
6月4日8時1分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080604-00000108-san-soci
グッドウィル(GW)の二重派遣が表面化した背景には、“拡大一辺倒”だった企業姿勢のひずみも浮かび上がる。ただ、日雇い派遣の業界では、三重、四重派遣も横行しているといわれ、業界全体を覆う“順法意識”の低さを指摘する声もある。
「支店長の口癖は『何でもいいから仕事を取ってこい』だった」。元GW社員は3年ほど前の支店内の様子を振り返る。30代の支店長は、派遣業務の知識がほとんどなかったという。「港湾業務への労働者派遣が違法だということも知らなかった。大丈夫なのかなと思った」と明かす。
GWに登録していた女性(45)も“いい加減さ”を感じていた。GWの派遣労働者は派遣先に「就業確認票」を持参し、就業時間や勤務態度を記入してもらう仕組みになっている。記入内容は賃金に跳ね返るが、「派遣先ではなく、同僚である派遣労働者が記入していたことがあった。理由を問いただしても明確な返答はなかった」と憤慨する。
GWは積極的な買収などにより、急速に店舗を拡大させた。関係者によると、東和リースも、かつてGWが買収した人材派遣会社の顧客で、そのまま派遣先として引き継がれたという。
GWの店舗は、平成13年の153店から19年6月末には1251店まで急増した。関係者によると、急激な拡大路線により、現場は人材不足に陥り、支店長は20〜30代ばかりになったという。就職して1カ月で支店長になるケースもあった。「何が何でも売り上げを伸ばせ、という会社の体質がコンプライアンスの軽視につながり、港湾派遣、二重派遣を生んだ」とグッドウィルユニオンの関根秀一郎書記長は厳しく指摘する。
ただ「低い順法意識は業界全体の問題」という声もある。龍谷大学の脇田滋教授(労働法)によると、IT業界などでは三重、四重派遣もざらだという。「中間マージンを取られまくって、労働者の懐に入るのは、派遣先が払った額の何分の1にもなってしまうこともある」
脇田教授は警視庁が二重派遣にメスを入れたことを評価したうえで、「今回は厚生労働省が刑事告発したところから捜査が始まった。悪質な場合、行政がもっと積極的に告発してもよいのではないか」と訴えている。
グッドウィル 日雇い派遣撤退へ 罰金確定で免許取り消し6月25日3時11分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080625-00000005-maip-soci
人材派遣大手のグッドウィル・グループ(GWG)は24日、100%子会社で日雇い派遣最大手のグッドウィル(GW)の事業継続を断念する方針を固めた。同社の二重派遣問題で、東京地検が同日、職業安定法(労働者供給事業の禁止)違反ほう助などの罪で、法人としてのGWを略式起訴。GWは罰金100万円を納付した。労働者派遣法に基づき、GWは近く派遣事業の免許を取り消される。GWGはGWを売却する方針だったが、規定では5年間は事業者申請を出すことが出来ず、廃業を余儀なくされる見通しだ。25日午後にも正式発表する。【東海林智、小倉祥徳、安高晋】
労働者派遣法では、許可業者の欠格事由として、労働基準法や職業安定法など労働関連法令に違反し、罰金などの刑が確定した場合を定めている。
今回の場合、支店ではなく、GW全体の免許が取り消される見通しで、契約期間が残っている派遣事業についても継続できない。労働局は、別の仕事の紹介など労働者の雇用の安定を図ることをGWに求めるとみられる。
GWで1日に派遣される労働者は3万4000人(昨年12月時点)とされ、最近は規模の縮小で1万人前後と言われている。
GWの日雇い派遣労働者を組織する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「二重派遣など違法な行為を重ねてきた会社が事業から撤退するのは当然だ。多くの労働者が雇用を失い収入を断たれることになる。厚労省は、日雇い雇用保険のさかのぼっての加入を認めるなど、労働者救済策を講じるべきだ」と話している。
他に略式起訴され、罰金(100〜50万円)を納付したのは、GW事業戦略課長、上村泰輔容疑者(37)らGW社員3人など。起訴状によると、上村被告らは06年5月〜07年6月、港湾運送会社「東和リース」(港区)が別の派遣先2社に同法で禁じられた二重派遣を行うことを知りながら、労働者延べ51人を派遣した。
【ことば】グッドウィル・グループ
日雇い派遣のグッドウィル、技術者派遣のグッドウィル・プレミアなどを傘下に抱える、総合人材サービスの大手。07年6月期の連結売上高は5090億円に上る。設立は95年2月。企業買収により急成長したが、07年6月、介護事業のコムスンが事業所の指定を不正に受けていたことが発覚。事業存続が困難になり、介護事業をニチイ学館などに分割売却し、撤退。日雇い派遣事業でも今年1月、事業停止命令を受けていた。
<グッドウィル>「7月末廃業」を発表 内勤4千人解雇へ
6月25日22時9分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080625-00000150-mai-bus_all
人材派遣大手のグッドウィル・グループ(GWG)は25日、100%子会社で日雇い派遣最大手のグッドウィル(GW)を7月末に廃業すると正式発表した。二重派遣問題で、厚生労働省が同社の派遣事業の許可を取り消す見通しとなったことなどから、事業継続が困難と判断した。GWGの経営再建に大きな痛手になりそうだ。
GWGは今後、GWが派遣する約7000人の労働者について、顧客企業での雇用継続や同業他社の受け入れを呼びかける一方、内勤従業員約4100人については退職を申し入れ、事実上、解雇する。GWの中元一彰社長ら全役員は退任する。記者会見したGWGの堀井慎一社長は「事業廃止は苦渋の決断。多くの方に迷惑をかけたことをおわびしたい」と謝罪した。
違法派遣問題などが相次いで発覚したGWは、厚労省から1月に最高4カ月の事業停止命令を受けたことで、登録派遣者が約3万4000人から約7000人まで激減。「日雇い派遣がワーキングプアの温床になっている」との批判もあり、GWGは売却方針を固め、日米の投資ファンドや人材派遣会社など数社と交渉。だが、違法派遣で社員が逮捕されたことなどで、交渉は難航した。
GWGは、介護事業からの撤退や派遣業の事業停止などで業績が悪化。米大手ファンドのサーベラスと米証券大手モルガン・スタンレーの2社連合の支援で財務基盤を強化し、技術者派遣などに経営資源を集中する計画だった。ただ、100億円規模での売却を見込んでいたGWが廃業に追い込まれ、200億円超で売却予定だった老人ホームも交渉が進んでいない。
経営の柱と位置付ける技術者派遣も優良メーカーは法令順守を厳格化し、「GWGとの契約を敬遠するケースが目立つ」(業界関係者)という。堀井社長は「六本木ヒルズからの本社移転、社名変更でイメージを一新したい」と述べたが、再建計画は大幅な見直しが迫られる可能性もある。
GW廃業の報道を受け、25日の東京株式市場でGWG株は、取引開始直後から売り注文が殺到。制限値幅いっぱいのストップ安となる前日終値比1000円安の6610円で取引を終えた。【田畑悦郎、小倉祥徳】

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