先日、芯座さんが採集した「石炭の滝」の完全体画像が届いた。
オーモリエンシスと思っていたそうだが
頬棘が長いのに気づき、送ってくれたのだ。
確かに、頬棘からオーモリエンシスでは無いことは間違いない。
モノグラフの長安寺産チョウアンジエンシスと比較してみる。
大きな特徴として、全面が滑らかで装飾は持たないことが挙げられるが
長安寺産のものに関しては、荒木・高泉(2001)が述べているように
剥離性の違いにより内型雄型の標本では粒状装飾が
確認出来ないことも多く、比較対象が形状が似るサブコニカなので
パーツで区別を行うのは困難と思われる。
一方、「石炭の滝」産では比較対象がオーモリエンシスなので
区別は容易だ。また、保存状態も落ちるので、粒状装飾の有無に
必ずしも拘ることはないと思う。
モノグラフに於ける私の採集標本(Plate[ Fig.3 )は、
前述の剥離性の違いにより「粒状装飾が確認出来ないサブコニカ」
だろうと思われるが、ホロタイプとなった標本(Fig.2)は少し違う。
画像も標本自体の保存も良くはないが、特徴は芯座さん標本と
よく一致するのである。
長安寺産チョウアンジエンシスの存在自体が微妙な中で
「石炭の滝」からチョウアンジエンシスに対比出来る標本が
得られたことは意義があると思う。
以前から採集していた、オーモリエンシスとは明らかに異なる尾部、
更にニャロメさんが採集している転石由来の完全体も
チョウアンジエンシスの可能性もありそうだ。
ただ、 長安寺・石炭の滝・鬼丸採石場の、それぞれから出ている
チョウアンジエンシスが本当に同一種なのか、
標本現物を見ていないし資料も不足しているので
何とも微妙な話ではある(笑)
少なくとも「石炭の滝」からはオーモリエンシス以外にも
ヒグチザワエンシス(コノフィリップシア コイズミアイ?)及び
チョウアンジエンシスに対比出来る種がいることは確定したと思う。