(神無月廿五日) おかげさま  

時々英文のメールを書いていると、“thanks to ~”という感謝表現が目立つ文になることが多い。この常套句は「〜のおかげで」で訳されるのが普通だが、ふと思うことは、「元気ですか」「ええ、おかげさまで」というフレーズである。Thanks to you もおかしいし、thanks to meといえば嫌われるに決まっている。かようにこの日本独特の感謝表現は実に訳し難いのだ。

「おかげさま」を漢字で表した時に、その謎が解けたような気がした。「お蔭様」には「蔭」があった!「蔭」とは「目に見えない神仏の庇護」という意味があるようだ。森羅万象、見えるものと見えざるものとで構成されている。表立って見えるものしか評価しないのがアメリカ流といったら言い過ぎだろうか。東洋の神秘ではないが、禅寺の石庭の如く、日本には目に見えないところに敬意を払っている。

「蔭」で支えているものは何か。目に見えない何かの「お蔭」で生を受け、こうやって元気でいることのロジックがその「おかげさま」に代表されるということではないか。古来、日本人の生き方は感謝の念を主眼としていたと思う。親や友人を含め自分を取り巻く環境に対して配慮するということが「おかげさま」に現されている。これから先も「御蔭様」で人生を歩いてみたいものだ。
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