(師走参日) 相当の対価  

青色発光ダイオード(LED)に関する発明の対価をめぐって係争中だった、中村修二氏と日亜化学工業との間で和解が成立した。一審の東京地裁が604億3006万円と評価した特許技術(404特許)は、今回404特許を含めて中村氏が日亜在籍中に発明した特許と実用新案,ノウハウのすべてに対して、6億857万円とおよそ100分の1に減額された。これに対して中村氏は、「日本の司法制度は腐っている。」と酷評した。といっても弁護団から、最高裁では法律論が繰り返されるだけで、これ以上の成果が期待できないといわれたようで、上告の手続は取らなかったようだ。

社会問題にもなった「相当の対価」とは何であろうか。中村氏の場合は、この発明がなされるまでの経緯が特異で、一般的な事例ではないと一審でも裁判長が述べているが、上がってきた利益の半分を「相当の対価」とした判例に世間は驚愕した。反面、技術者や研究者に大きな励みを与えたことも事実である。

私見を述べさせてもらうと、この「相当の対価」が6億円強という数字の根拠は分からないが、何か釈然としないのは確かである。確かに中村氏は会社を辞め、アメリカの大学教授という職を得ているが、そもそも日本企業ではすべての研究者が成功者になるわけでもなく、発明者が特許を会社に譲渡することで、結果が出なかった場合の身分保証をしているように思う。したがって、会社を興すとか、数年で成果が出なければ解雇するといった契約が結ばれているとかであれば、「相当の対価」も高額になっても不思議は無い。やはり、それなりのリスクを背負った人間のみが「相当の対価」を要求できるのではないか。

これもまたリスクリターンをどう捉えるかだろう。しかし、今回の事案は会社側と研究者の関係が泥沼状態だった。2万円で事足れりとした会社側の非常識も一因だし、感情的なボタンのかけ違いがあったようにしか思えない。島津の田中氏のような人もいるし、人様々なのが「相当の対価」ではないだろうか。


0




AutoPage最新お知らせ