(師走壱拾日) 株式投信という妖怪  

2004年末の公募株式投信の残高が27兆4352億円と前年に比べて29%増え、1992年以来だと日経が報じている。1998年から解禁された投信の銀行窓販がその牽引役で、株式投信の残高は12兆6329億円、シェアで46%、私募も含めると5割を超え、証券を上回っている。株式投信のなかで残高を伸ばしたのは株と債券の両方に投資するバランス型だとも云っている。

普通に考えると、株も少し上がっているし「株式に投資している投信」がそんなに伸びているのかと思う人が多いのではないか。ところが、識者の誰もが言うようにこの数字にはマジックがある。投資信託協会の株式投信の定義は、「ポートフォリオの中に株式の組み入れることができるファンド」なのである。だから、信託約款上に、一部でも株式が組み込まれる可能性があると明記されていてものは、全て株式投資信託になるわけだ。

だから、債券のみに投資するファンドでも、約款に株式が組み込まれる可能性があると株式投資信託になるわけ。したがって、運用資産が3兆円を超す、怪物「グローバル・ソブリン・オープン」は株式投信なのである。摩訶不思議な分類であるが、これには裏がある。債券で運用するファンド(公社債投資信託)にはこんな決まりがあるのだ。「投資信託の時価が、元本(1万円)を割り込んでいる場合、投資家に分配金を支払うことができない。」つまり分配金が支払われるのは、運用が上手く行った場合だけに限り、タコ足配当を禁止しているのだ。でも株式投資信託にはこんな決まりはない。したがって、グロソブが10000円を割っていても配当は出せるし、追加設定も可能というマジックが成立するわけである。

投信各社はエンロン事件の時、10000円を割ったMMFは追加設定を出来ず、解体に追い込まれたファンドも多かった。ところが、株という文字が定款にあると上記のようなマジックが堂々と演じることができるのである。株式投信が増加したというのは正確ではなく、分配型の外債投信がよく売れたということなのである。つまり、本当に株に投資している投信は株が上がったので残高が増加しているが、ニューマネーは入ってきていないというのが実情なのである。

数字の定義を見誤ると、えらいことになるのである。
0




AutoPage最新お知らせ