(睦月四日) NSP  

愚妻と呉のイタリアンレストランで久し振りの二人だけの食事をし、彼女の運転で夜の瀬戸内を眺めながらのドライブなんて、今までなかったことだった。なにせ昨年末に運転免許を取ったばかりですからね。

そんな一日が過ぎようとしていた夜のTVを何気なく見ていたら、懐かしい顔が。。。NSPの天野滋だ。NSPといっても知らない人が多いだろう。なにせ地上波では20年以上出たことがなかったのだから。ニュー・サディスティック・ピンクという名前からは想像できない、悪く言えば女々しい曲がウリのあのNSPである。代表曲の「夕暮れ時は寂しそう」は1974年というから30年も前の歌であるが、この曲には忘れない思い出がある。

四国の片田舎から出てきた大学一年生は山口という町には縁もゆかりもなく、当然友達もいなかったせいで、人恋しかったせいもあるが、下宿の長屋でたまたま同じ経済学部の先輩が混声合唱団に入っていたので、入部を申し込んだのだ。もちろん混声だから女の子が目的だったというのもあるが、ははは。(あとで、知るのだが山大は全国でも同棲比率が高いという。なにせ周りに何もないという環境のせいでもあったが。)

そんな部活の中で新人歓迎も兼ねて、部内のミニコンサートを山口市民会館の小ホールでおこなったのである。そのなかで私は下宿の先輩の安本さん、田中さん、そして田中さんの友達の高橋さんと四人でNSPの「夕暮れ時は寂しそう」を演奏することになったのである。ギターの名手の田中さん、オカリナの高橋さん、安本さんがメインボーカルで私はちょい役のハモリを任されたのである。しかし、それまで人前で歌など歌ったことのない私にとって、いくら身内とはいえ、ほとんど知らない人だし、緊張しまくりだったが、下宿で練習した甲斐もあって上々の出来だった。その自信から私でも歌えるかなという気持ちになったのは事実である。

そんなNSPがこのほど新曲でアルバムを発表し、全国コンサートを開始するようだ。TVでその曲を聴いたが、あの天野らしい曲でまるで変わっていなかった。時代から取り残されたようなグループで、野外コンサートで大いに盛り上がるというタイプではないが、一度近くで開催されるのなら聞きに行きたい。ところで、あの当時NSPのバックバンドでギターを担当していたのがCharというのをご存知だったでしょうか。あの頃のいわゆるフォークの逸材の復活だが、番組で天野が再び頂点を目指すという言葉は新鮮だった。リバイバルではなく常に前を見据えたその姿勢に今の自分の年齢を重ねると、すこし自信喪失気味だった私を鼓舞するものだった。
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