(睦月八日 上弦) 南伊予・西土佐の道  

司馬遼太郎著 街道をゆくM 朝日文庫

昨日に続いて読書感想文を一つ。司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズが週刊で発行されて、現在は第5巻ではないかと思う。確かにビジュアルできれいな写真で見せられると、それなりに楽しめるが、本の中の活字から風景を想像するという楽しみがあっていいのではないだろうか。

南伊予、いわゆる南予地方とは愛媛県の松山(このあたりは中予とよばれる)から西南の方向にある大洲や八幡浜、宇和島などが点在する地域である。これに対して東予とよばれるのが香川県に近い瀬戸内に面した地域である。(私はここで生まれ18歳まで過ごした。)東予からすると南予はみかんと漁業の地域というイメージで、工場の煙突が目立つ東予とは全く異なる土地なのだ。

そんな南予を司馬遼太郎は須田画伯とともに旅している。しかし愛媛県人でも、へぇ〜と驚く事実が多く散りばめられており、さすがに作家の博識だなあと感嘆するばかりだ。江戸時代小さな藩が点在していた伊予は松山藩が佐幕派だったこともあって、土佐藩に一時預かりの憂き目にあっている。しかし、会津藩や長岡藩のように抵抗するのではなく恭順の誠意で応じ、15万両を官に抑えられたのである。なんとも長閑な土地柄である。そもそも愛媛という言葉自体が「いい女」なのだから、世界中さかしてもこんな名前の行政区はないだろう。

ただ、「南伊予・西土佐の道」といいながら、ほとんどが南予の内容で、西土佐の話は最後の数行というのは、土佐びいきの司馬遼太郎にしては???と首を捻らざるをえなかった。


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