(睦月廿参日)  新株発行禁止仮処分申請事件  

ライブドアに対抗してニッポン放送が決議した新株引受権発行決議だが、これに対して大方のマスコミは判例がないとしているが、これは全くの嘘である。東京地裁で平成元年7月25日に、以下のような判決がおりている。

(新株発行禁止仮処分申請事件 東京地裁平元(ヨ)二〇六八号 平元・7・
25民八部決定)。

 簡単に言えば、今回の申立てよりずっと緩やかな株比率の低下への懸念だっ
たにもかかわらず(今回の新株発行によりライブドアの保有比率は43%から16
%にまで低下させられることになるが、この判決では33.34%から26.81%に低下するにすぎない。)、申立て側の全面勝訴になっている。この判例の要点は、株の保有比率に重大な影響を与えかねない新株の発行を通じて、支配権を排除しようとするのは不公正発行にあたるから、差止めの申立ては正当である、というものである。判例を重視する日本の裁判制度では、これを覆すのは難しい。

ご参考のため掲載しておこう。

《新株発行禁止仮処分申請事件 東京地裁平元(ヨ)二〇六八号 平元・7・
25 民八部決定

       決   定

申請人 秀和株式会社
 右代表者 代表取締役 小林茂
 右訴訟代理人 弁護士 並木俊守
          同 山田二郎
          同 渡邊幸則
          同 安西義明
          同 河合弘之
            右河合弘之訴訟復代理人 弁護士 井上智治
          同 荒竹純一
          同 野中信敬

被申請人 株式会社忠実屋
 右代表者 代表取締役 高木吉友
 右訴訟代理人 弁護士 古曳正夫
          同 相原亮介
          同 渡辺肇


       主   文

 被申請人が、平成元年七月一〇日の取締役会決議に基づき、現に手続中の記
名式額面普通株式二二〇〇万株の発行を仮に差し止める。
 申請費用は被申請人の負担とする。


       理   由

第一 当事者の申立て及び主張の要旨

一  申請人は主文第一項と同旨の決定を求めた。申請の理由の要旨は次のと
  おりである。

 1 被申請人は、資本金一二五億五九八二万四六九四円、発行済株式総数九
   〇二九万二四七六株(額面金五〇円)の株式会社であり、申請人は、被
   申請人の株式三〇一一万一〇〇〇株を有する株主である。

 2 被申請人は、平成元年七月一〇日の取締役会において、次の新株発行を
   決議した(以下「本件新株発行」という)。
   (一)発行新株数 記名式額面普通株式二二〇〇万株
   (二)割当方法 発行する株式全部を株式会社いなげや(以下「いなげ
      や」という)に割り当てる。
   (三)発行価額 一株につき金一一二〇円
   (四)払込期日 平成元年七月二六日

 3 本件新株発行は、次のとおり、法令に違反し、かつ著しく不公正な方法
   によるもの(以下「不公正発行」という)である。
   (一)本件新株発行の発行価額は、右のとおり、一株につき一一二〇円
      であるところ、平成元年七月五日後場終了時の東京証券取引所に
      おける被申請人の株式価格は一株五〇五〇円であるから、本件新
      株発行価額は商法二八〇条の二第二項所定の「特ニ有利ナル発行
      価額」に該当するものであり、それにもかかわらず、被申請人に
      おいては、同条項所定の株主総会決議を経ていないから、本件新
      株発行は法令に違反するものである。
   (二)本件新株発行は、資金調達の必要性を欠き、現実にも資金が調達
      されておらず、もつぱら、申請人の被申請人における持株比率を
      低下させ、現経営陣の支配権を維持する目的でされるものである
      から、不公正発行に該当する。

 4 本件新株発行により、被申請人の株主たる申請人は次のような損害を被
   る。
   (一)本件新株発行により、申請人の被申請人における持株比率は、三
      三・三四パーセントから二六・八一パーセントに低下するうえ、
      時価の二二パーセントという極めて低い価額による大量の新株が
      発行されると、株価も一挙に低下することは明らかである。
   (二)本件新株発行は、いなげやの被申請人を引受人とする新株発行に
      対応してされるものであるところ、いなげやの右新株発行も、本
      件新株発行と同様に有利発行であって、これにより、被申請人に
      対しては、市場の取引価格と本件新株発行価額との差額に対して
      高率の法人税及びこれにともなう住民税、事業税の課税されるお
      それが強く、そのようなことになれば、被申請人の株式の価格が
      著しく低下することは避けられない。

 5 申請人は、被申請人に対し本件新株発行差止めの訴えを提起すべく準備
   中であるが、払込期日は間近に迫っており、その期日が到来して引受人
   が払込みを済ませ本件新株発行の効力が生じた後は差止請求自体が無意
   味となるうえ、本件新株発行により、申請人は前記のとおりの損害を被
   るのであるから、本件仮処分申請については保全の必要性がある。

二  被申請人は、「本件仮処分申請を却下し、申請費用を申請人の負担とす
  る。」旨の決定を求めた。被申請人の主張は、本体新株の発行が適法かつ
  公正であるというにあり、その理由の要旨は次のとおりである。

 1 本件新株発行の発行価額は、被申請人のあるべき株式価格をもとにして
   算定したものであるから、申請人主張のように「特ニ有利ナル発行価
   額」には該当しない。すなわち、東京証券取引所における被申請人の株
   式取引の月間出来高は昭和六二年六月以降急増し、その後株価が著しく
   高騰したが、同業他社と比較しても、その高騰は異常というほかなく、
   しかも、この異常な株価は申請人の買占めによって生じたものである。
   このような事態のもとで新株を発行するに際しての発行価額の算定にあ
   たっては、市場価格を基礎にすることはできず、被申請人のあるべき株
   式価格に基づいてその発行価額を算定すべきである。被申請人は本件新
   株の発行価額を算定するにあたり、野村企業情報株式会社にその資料の
   提出を求め、同社は自ら発行価額を算定したうえ、サンワ・等松青木監
   査法人にその価額の検証を依頼し、さらに青山監査法人に発行価額の算
   定を依頼した。本件新株の発行価額は、これらによって得られた株式価
   格に基づいて決定されたものである。

 2 被申請人といなげやは、昭和六三年一二月以降、相互に業務提携(以下
   「本件業務提携」という。)及び資本提携をするための交渉をしていた
   が、平成元年七月八日、両社の間で、各会社の取締役会の承認決議を停
   止条件として、本件業務提携及び資本提携をすることを合意し、同月一
   〇日両社の取締役会においてその承認決議がされた。両社の業務提携は
   広範囲かつ濃密なものであり、大量のノウハウの相互移転が行われるた
   め、資本を持ち合うことにより相互の信頼関係を確立する必要があり、
   その持株比率は、業務提携の密接さに見合い、かつ相互の経営の独自性
   を害さないという考慮のもとに、発行済株式総数の一九・五パーセント
   とした。本件新株発行は右の合意に基づいてされるものであるから、公
   正なものというべきである。<中略>




懐かしい「秀和」が「忠実屋」「いなげや」を買い占めした事件の顛末でもある。その後、秀和の持株はダイエーが買い取り、傘下にしたが、そのダイエーも再生機構入りで空中分解してしまった。今回のライブドアとニッポン放送も同じ民事八部でおこなわれている。マスコミも勉強しろよな。
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(睦月廿弐日) 睡眠時無呼吸症候群  

睡眠中に呼吸が頻繁に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」。何年か前に新幹線の運転士が居眠りをしていた事件があったが、彼がこの病気であったことは記憶に新しい。充分睡眠時間を取っているつもりなのに昼間猛烈な睡魔に襲われる人はまず間違いなくこの患者である。かくいう私もダイエット前は、睡眠時にものすごい鼾をかいていて、呼吸停止がしょっちゅうだったということは、愚妻に「はた迷惑なこと」と小言を幾度となく聞かされたものだ。

この病気、最大の原因は肥満である。患者は40−50代の男性が最も多い。特に首の太い人は咽周りの脂肪が気道を圧迫して、呼吸を止める原因になるわけだ。全くもって、「ネック」が「ネック」なのである。また、過度の飲酒も咽の筋肉を緩めるので原因になりやすい。要するに太った男が飲みすぎるとアウト!というわけだ。半年前の私などその典型だったということである。実際、ダイエットで85キロを割るようになった今では、この鼾も無くなったようで、さらに飲酒機会の減少でダブル効果というところか。

睡眠時無呼吸症候群の治療技術は進歩していて、最も有効とされているのは睡眠中に専用マスクをつけて、鼻から一定圧力の空気を送り込んで気道を確保する「経鼻的持続陽圧呼吸法(CPAP)」という在宅療法である。確かこのマスク、トップメーカーは帝人だった記憶がある。この療法は健康保険の対象になるので自己負担は月5000円程度のはずである。でもこれは対処療法なので、マスクを外せば元の木阿弥となる。マスクを外したければ、食事を節制して身体を動かして、減量を心がけなければならない。この私のように、ははは。
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(睦月廿壱日) 死生観  

久しぶりに東大阪の中小企業の会長さんにお会いした。このA会長さん、商売的にはちょっと難しいところがあるのだが、中国ビジネスのパイオニアだけにいろいろ勉強させられることが多く、今日も予定の時間をオーバーしてしまった。A会長は既に70歳をゆうに超えているのだが、日本の老人医療費の急増に眉をひそめていた。生産性の無い手術や投薬で寿命が延びることにどれだけの意義があるのかということだ。高齢化の弊害を老人自身が指摘するという予想外の発言にこちらは面と向かって賛成ですとは言えず、苦笑いを浮かべるだけだった。

もし政治家がこのような発言をし、老人医療費の削減に努力するなどといえば120%落選の憂き目に遭うだろう。しかし、昔の日本人は「お勤め」が終われば「お迎え」がくるものという死生観を持っていたのではないだろうか。姥捨て山などというと非人間的な象徴と捉えられるかもしれないが、年老いた人間としては若いものの厄介にならず、自然に帰るものであるという論理が倫理に反していると抗弁できるだろうか。人間誰しも長生きはしたいし、身内の者もそうあって欲しいものだろう。しかし、介護それ自体がその人間にとって幸福かどうかという問題に対して正解をすることの困難さを誰もがもつのではないだろうか。私は今の日本の介護ビジネスには人間の尊厳というものは無く、ただ老人を商品としてみるビジネスではないかというと反論もあるだろう。

2050年も日本が世界一の長寿国という調査が先日厚生労働省が発表していたが、そんな老人大国が2050年に今の地位にあるとは思えない。誤解を覚悟して言えば、生きるということは命があるということではないということだ。


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