(如月壱拾参日) 就職活動を見て  

三月も下旬になると4月の採用活動解禁を前にしたリクルート姿の学生を見かけるようになった。今年の就職戦線は金融業界の急回復が目立つという。当社でも今年の新入社員が急増し、4月には6人が入ってくるというのだから(例年は2人)今年の採用もそれ以上かもしれない。

ところで「失われた10年」といわれて久しいが、企業の採用を見ていると以前と比べて何が変わったのだろうかと思ったりする。企業の採用の抑制はデフレ進行を受け、経済環境の悪化から労働分配率が15年ぶりの水準までに低下していることは、人件費を中心に固定費が削られたことを意味する。リストラは企業の苦渋の選択だったというが、結局は固定費を削っただけで、固定費を変動費化するという質の変化を目指したわけではなく、量を減らしただけというわけだ。

日本では生産と利益の相関関係が非常に高い。これは費用が固定的であるという裏返しでもある。米国ではこれほどの高い相関はない。云うまでもなく米国の人件費が伸縮的であるのは毎月の雇用統計などをみればよく分かる。労働生産性が重視され、これが利益と高い相関を持つのである。日本の株式相場は世界景気の動向に非常に敏感であるとされるが、それは日本企業の売上が世界景気に連動するというよりも、日本企業の費用が景気に鈍感である結果、利益と世界景気の相関関係が高くなるからだろう。これは世界景気の変動に対して、日本の企業利益の方が米国よりも大きく変動するということだ。

労働分配率に代表されるようなリターンをいかに分配するという議論も重要だが、景気変動に対するリスクを株主と従業員の間でどう分配するかということも重要である。日本企業はデフレ経済の深刻化で、固定費の削減に取り組んでいるが、リスクの分配について本源的な解決を目指したかというと否である。従業員のリスクを低く抑え、株主にリスクを負わせる構造を守り通したとも云うべきだ。結局、日本企業は変わったようであり、根本的に変わっていないということではないか。
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