(如月壱拾九日) 売文生活  

日垣隆著 ちくま新書

読書をしていると、ほんとこの人が書いているのだろうか、ゴーストライターがいるんじゃないかと思ったりすることがある。しかし、この本を読んでいると書く人はほんと書くんだなあと驚嘆してしまう。とはいいつつ昔から原稿料というものは余り上がっていないようだ。まあ原稿といっても小説のように何百枚にもなったり、コラムとして400字詰3枚程度の書き物もあるから、一枚あたりを平均するという考え方は邪道だろう。しかし、印税で一発当てれば作家は、本当に「家を作る」(キャッシュで)人になるんだなあとまたまた驚かされる。

普通のサラリーマンと違って自由が欲しくて物書きを目指す人もあるだろうが、本音は自由もお金もだろう。取材費を考えれば今時の原稿料はやっぱ安いというべきかも知れない。しかしそれを余りに強調するというのも若者の物書きへの興味を失わせるものである。昔と違ってワープロというものがあるのだから、書くスピードは断然早くなっているものだと思ってしまうが、なかには今だ手書き一本という「作家」も多いようだ。

作家も評論家も頂上の人を除けば、流行り廃れがあるというものだ。そのためのヘッジとしてのマネジメントが出来ない物書きというのも多い。一発屋で豪邸を建てる方法もあるだろうが、コンスタントに書き続けるというのが一番凄いわけだ。今はかなり抑えているようだが、赤川次郎などの高額者番付の推移など見ていると超人としか思えないのだ。

この本は物書きとして初めて「FA宣言」?をした夏目漱石などの逸話をふんだんに取り入れ、明治以来の物書きの汗と苦悩を教えてくれる。いわばある種の日本文化論ともいうべき新書である。
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