(卯月壱拾七日 望) 遅い帰宅  

5月は営業日数が少ない上に、株式相場はめろめろ。そんなわけで証券会社も結構大変な収支のところもあるので、当然会社を出る時間は連日9時を廻っている。本当に家と会社の行き帰りだけで一日が終わってしまう。疲れだけが残る最悪の状況なのだが、仕事から逃げるわけにも行かず、悶々たる日が続く。

しかし、こんな時こそ人間はプライドがあってなんぼのもんだ。管理職とて部下に対しての態度は気をつけたいものだ。いつも仕事ができるわけでもないし、好不調の波はある。出来ている時におごらず、出来ていない時に腐らず、というのが理想的だが、人間というものは生身の動物である。いい時は有頂天になるし、悪い時は落ち込むものである。そんな部下のプライドをへし折るような言動をするような上司はいかがなものか。

いかに人を動かすか。性善説であろうと性悪説であろうと同じ人間である。見方で評価が異なれば、誰も信じるものはいなくなる。お仕着せがましい言葉よりも背中で語る上司になりたいものである。上司というのはえらいものという化石のような精神論では、人はついてこない。組織はピラミッドであれば、堅固のように見えるかもしれないが、最強の組織は同心円である。○○第一主義というのは、物事に順番をつけるだけであって、○○中心主義という論理には勝てない。
0

(卯月壱拾六日) 東京の感覚  

NHKのプロジェクトXで大阪の淀川工業高校の合唱部が取り上げられたが、事実と異なる内容で物議を醸している。東京の感覚でいうと、大阪の下町のしょうもないツッパリ高校が熱血教師を得て、周囲の反対にもめげずに合唱で日本一になった、というあの伏見工業ラグビー部がモデルになった「スクールウォーズ」仕立てにしたかったのだろう。ところが、この淀川工業は松下のお膝元の町工場のど真ん中にある高校だ。中途退学者のほとんどが卒業前に就職先が決まり、問題行動で退学する者はほとんどいなかったというのが事実である。さらに初めてのコンクールでパトカーがやってきたという段に至っては、滑稽さを通り越して、ふざけるなというOBの声がしきりである。

ドキュメンタリーではないのだから、それなりの脚色はいいだろうし、伏見工業のラグビー、淀川工業の合唱と様になるしと思ったのだろうが、世の中そんなに甘くはない。さらに音楽の授業はないし、音楽室もピアノもないというのも嘘だらけだ。新米先生がやってきた当時の同校には全国レベルの吹奏楽部存在しているが、音楽には無縁の高校ということで全く触れていない。シナリオが違ってくるので嘘をつかざるを得ないということになったのだろう。全く情けない話だ。

もうそろそろこの番組も終わりにしたほうがいい。「立つ鳥後を濁さず」である。
0

(卯月壱拾五日) コンビニ弁当  

最近、土日は自炊なので、めったにコンビニ弁当のお世話になることもないが、最近のコンビニ弁当の多彩さは目を張るもので、弁当の売上がコンビニ戦争を制するというのは相変わらずのようだ。ところで、この弁当だが、大体は男性向けにボリュームのある肉を中心にいわゆる茶系統でまとめ、女性向けには色々なおかずがあって、赤・青・黄と信号ではないが、色とりどりの弁当が好まれているようだ。さらに重量では男性向けは500g以上、女性は450gと細かく分けて、わがままな消費者に合わせようとしている。そこではいまやコンビニのもう一方の大事なお客様の高齢者向けの弁当というものはあまり見られない。たしかに惣菜では少量パックで身近なコンビニは高齢者に人気があるが、その惣菜の中味でももう少し一工夫がほしいものである。

高齢者になって一番苦労するのが噛む力の衰えである。入れ歯を使う人もいるが、それでなくても硬いものはちょっと敬遠したいもの。そこまではできないといわれるかもしれないが、歯にやさしい弁当というのはシニアにとって、とても重要な選択肢である。どこか、若者向けシニア向けをテーマに弁当作りに頭を捻れば、一つの商機が生まれるのではないだろうか。
0

(卯月壱拾四日 小満) そして神戸  

爽やかな風が旧居留地の界隈をかけていく。朝の神戸の風は清々しく、開店準備の大丸のそばを通って、農業会館へ向かう。一時はよく通ったビルで懐かしさも湧いてくる。ファイナンシャルプランナーの継続研修のセミナーがここで12時までおこなわれるのでやってきたわけだ。2年間で15単位を取らないとこの資格喪失の危機になるので、出席だけで単位が取れるという安易な方法は欠かさず取るということである。もちろん無料ではなく2000円の経費が要るわけだが、なかなかそれ自体で収支が賄えられるFP協会ではないので、こうした金も必要経費というわけか。でも大勢のFPからこの費用を取るにはあまりにお粗末な講師で、金返せと云いたいほどだ。風邪で2時間ぶっ通しの講話はきつかったのではないかという主催者の配慮だが、それは内容がいまいちだったという客観的判断でもある。

そんな退屈な時間が過ぎて12時を廻れば、もう一つの目的であるランチである。神戸というと神戸牛というように肉の美味い店はいくらでもあるが、実は私が一番食べたいのは三宮センタープラザ西館地下の「かつ丼 吉兵衛(よしべい)」である。ほんの僅かな外資系証券神戸支店在任時代に教えてもらった当時は、カウンター5席の小さな店で、周りは市場なのでそのなかの賄い食堂だった。それでも昼は長蛇の列で、ただひたすら待っていた。あの阪神大震災で滅茶苦茶になりながら、早期に開店したようで、少し場所を変えて、席も15ほど拡張したが、随分以前に神戸に行く機会があったときに久しぶりの味を堪能した。きょうはそれ以来だから何年ぶりだろうか。食券機で「だぶる」を注文する。「だぶる」とはカツ2枚、卵2個。30代は平気で食べられたが、今日は完食するのが一苦労。さすがにこの量はきつい!初めて食べた時に比べるとちょっと味が落ちたかなと思うが、普通のカツ丼は600円ととてもリーズナブル。ソースカツ丼もあって、今日も行列が続いていた。電話注文もやっているようで、平日だともっと混むのではないだろうか。定休日は市場の休日の水曜日。まわりの食べ物やさんがかわいそうになるほどの盛況ぶりは変わっていなかった。
0

(卯月壱拾参日) 通貨燃ゆ  

谷口智彦著 日本経済新聞社
〜円・元・ユーロの同時代史〜

久しぶりに考えさせられた経済本。とかく経済本は一年も経つと古本屋で値段もつかなくなるが、この本の寿命は長そうに見える。英ポンドから米ドルへの覇権交代にまつわる20世紀の政治ドラマを回顧する箇所は新鮮であり、その他にも眼から鱗の話が満載で、この手の本の割には結構早く読み終えた次第だ。

1971年、前年に大阪万博を終え、高度経済成長の頂点を極めていた日本にとって、8月16日(米国時間では15日)のニクソン大統領の金ドル交換停止の発表は寝耳に水だった。当時私は中学3年生。夏休みの宿題で新聞のスクラップをしていたが、一面の見出しの大きさにびっくりしたが、コメントとして「さっぱりわからん」と書いたら、担当先生から「弱音をはくな」とのコメントが返されてたのを今でもはっきり覚えている。このコメントには少々腹が立って先生に説明を受けたが、納得のいくものではなかった。そのニクソンショックはアメリカの対日戦勝記念日である8月14日ではなく、15日であったことはこの発表が日本をターゲットにしたものであったが、日本では同時に発表された輸入課徴金問題に焦点があてられ、金ドル交換停止の本質を見失ってしまった。

また中国に関しても支配している共産党を「世界一の人事部」と称して、その正体を看破している箇所は引き込まれていく。注目の中国元切り上げ問題に関しても最後の切り札として温存し、そのタイミングを狙うのは通貨が経済問題というより政治問題というこの本の主旨を端的に表したものである。いろいろ歴史を勉強させてくれた本である。一読をお勧めします。
0

(卯月壱拾弐日) 高級官僚論  

ちょっと仕事柄当局のかたと話する機会があった。人格的にも申し分のない方で、キャリアと呼ばれる官僚もひとくくりで語れるわけではないという思いをした。しかし、受験の話をしていた時、なんとなく官僚の出世競争に通じるものがあるようにも感じた。

受験戦争に勝ち抜いて、官僚になるためにはテクニックが必要である。それには試験で一点でも多く得るために、難しい問題には手をつけず、解きやすいものから稼いでいくことが肝要となる。自分自身も経験があるが、難しい問題にひっかかって時間を食うと全体としての点数が低くなるのは当たり前である。官僚の出世競争というのは制限時間が決まっている受験に似ている。何も好き好んで限られた自分の任期の間に困難な問題に手を出して、キャリアに傷をつけるわけにはいかないのだ。先日の総務省の高級官僚はこの手強い問題に手を出して、官邸の機嫌を損なったということだ。

ところが、政治家はそうではない。選挙民に選ばれれば何期でもできるわけで、だからこそ率先して困難な問題に手をつけなければならない。ところが、最近の政治家は官僚のようになってきて、問題を先送りしていることが多い。これでは現在の日本が前に進まないのも当然かもしれない。
0

(卯月壱拾壱日) スーパーサラリーマン  

昨年度の高額納税者(これも個人保護法案で今年かぎりじゃないかな)の発表があり、タワー投資顧問の運用部長の清原氏はトップになったのが巷の話題を独占している。そもそも彼は昨年も確かベスト10入りしていたと思うし、ここ数年は上位の常連でもある。東大卒、野村證券、スパークス、タワーとファンドマネジャーの経歴は輝かしい。投資方法は小型割安株を大量に買付し、それを高値で売り抜けるという、FMにとっては神がかり的な商いをいとも簡単にやってしまうスーパーマンなのである。スパークスを設立した阿部氏の下で才覚を磨いたのだろうが、腕一本の世界で収入およそ100億というのは全くもって素晴らしいことである。

もっとも会社にとっては彼が単なる部長である限りは、給与は経費処理だし、役員になれば税引きご利益から捻出しなければいけないわけだから、当然いわゆるサラリーマン待遇ということなのだろう。しかし、これを羨ましいと思うよりも、小型の割安株をさがすことは誰でも出来るわけだから、一般の個人投資家もこの手法は可能なのである。ただ、5%ルールで手の内をさらすことによって、勝手に「Greater fool」が上値を買ってくれるわけで、そこで売ればいいわけだが、この売り抜けほど難しいものはない。上手くシナリオを作り、相場を作って売り抜ける。その是非はともかく、稀代の能力を持った人物であることだけは云えるのだ。
0




AutoPage最新お知らせ