(葉月壱拾壱日) アジア危機  

今日の日経金融新聞でインドネシアルピアの急落が取り上げられている。半月前の出来事だが、総選挙でうつつを抜かしていた投資家には少々刺激的な言葉が並んでいる。確かにもろに影響を受ける二輪車メーカーはこの時期株価が急速に調整局面を迎えた。

もちろんこのルピア安は原油価格の高騰の影響だ。インドネシアは2004年に石油の純輸入国になっている。急速な経済発展と産出量の減少が原因である。しかし、国民の間では「石油は安いもの」という産出国の意識が色濃く残っているので、石油製品は補助金等で安く保ってきた。だいたい他のアジア諸国の6割といったところだ。2004年の補助金総額は前年比4倍増の70億米ドルと政府予算の14%にも上るが、今年は倍増の140億ドルを越えそうである。しかし、政府はこの補助金の削減に熱心ではない。30年間独裁を誇ったスハルト政権が燃料価格に対する国民のデモで打倒された過去を記憶しているからである。

インドネシアの外貨準備はおよそ300億ドル、補助金2年分である。97年のアジア危機の発端となったタイは経常収支バランスが赤字になり、これを短期資本収支で補っていたため、あのような危機に陥ったのである。インドネシアはそこそこの外貨準備があるので、そこまではいかないだろうが、補助金については早急な改善が必要である。

たしかにアジア諸国は石油の上昇では不利な立場になっているが、そのインパクトを過大視する必要はない。まず、第一に原油価格の上昇が需要増で起こっていること。第二に名目ベースではなく実質ベースの原油価格はまだ低いこと。第三に外貨準備の蓄積があることが挙げられる。日米欧の低成長から比べるとアジア諸国の成長率は高レベルであり、少々の原油上昇でも支障はないと思われる。

しかし、インドネシア、インド(石油依存度が高い)フィリピン、タイなどで外貨準備が減少したとか、金利上昇を余儀なくされた、貿易収支が赤字になったとかいうニュースには気をつけておきたいものである。今回のインドネシアのようなハプニングが今後も起こり可能性はあるからだ。


0




AutoPage最新お知らせ