(長月壱拾九日) ご異見拝聴  

日経に「ご異見拝聴」というコラムがあって、三友システム不動産金融研究所代表の井上明義氏が、地価は5年で半分になると見方をしていた。東京23区の地価が15年ぶりに上昇している今、この見方はあまりに過激に見える。5年で半値になるには約13%の下落が毎年続く必要があり、地方も含め下落幅が縮まっている現状からは実現性が低いように思えるし、全国的な底入れも遠いだろうが、急落もないというのが平均的な見方だからだ。

しかし、主張されているなかで気になるところはある。地価が上昇しているのは、再開発が進む地下鉄新駅近くの新築大規模ビル群だけだという。再開発した不動産会社の既存ビルは賃料が下がり、周辺地価も下がっている。また、不動産を買う主体の外資系企業は新任の担当者が実績を作らないと評価されないので、高い評価でも購入できれば云いという考え方で、地価上昇を煽っているともいっている。たしかに、購入予定地の鑑定評価を高めにしてほしいといった話は聞くし、古い体制を引きずっている業界だけにネガティブなことには蓋をするといったこともあるだろう。

バブル期に土地が高騰したのは、金利の低下と下げ止まりが銀行の貸出先探しを困難にし、日銀の誤った窓口指導で銀行貸出の増加を黙認し、鑑定力のないまま不動産に貸し込んでいった結果であった。お金の流れが逆流したため、実需の裏付けのない価格が正常化したのがバブル崩壊であり、今だ不透明であるのがこの不動産価格の適性評価と市場評価である。適正な評価システムがないので、例えば不動産投資信託(REIT)の急激な上昇、そして急落、公募価格割れというボラタイルなブレが起こっているのである。

確かに収益還元方式という概念で適正な不動産価格になっているという向きもあるが、デッドとエクイティの比率をどれだけにするかということで、デッド部分は現在の超低金利のもとでは高いレバレッジが正解ということが、低金利のよる土地価格の上昇を招いていることだけは事実である。
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