(長月廿弐日) 後継者の難しさ  

グリーンスパンFRB議長の後継者としてバーナンキ氏が正式に指名された。予想されていたとはいえ、名声溢れるグリーンスパン氏の後となるとプレッシャーもあるだろう。しかし、G議長も前任のボルカー氏に比べれば小粒というイメージが先行したが、あのブラックマンデーでの適切な措置によって市場の信認を勝ち取った。原油高騰という波乱要因のなか、これから起こるであろう諸問題の解決策で彼がどう舵を取るかが注目される。

後継者といえば、奥田経団連会長の後任にキヤノンの御手洗社長が選ばれた。さすがにトヨタ、トヨタとなるのは好ましくないという判断だったようだ。御手洗氏はキヤノン創業者のひとりである御手洗毅氏の甥で、1995年毅氏の長男肇氏が急逝したことで、その後任に就いた。この辺は武田薬品と事情が似ている。当時有利子負債が膨らみ財務体質が弱かったキヤノンの経営改革をトップダウンで実行し、日本企業がまだリストラに慎重だった時代に、パソコンなどの不採算部門からの撤退を果敢にすすめ、デジカメなどの新技術開発を加速させ、また近年では日本企業の中国への工場移転が加速するなか、生産技術の強化ということで「ものつくり」の国内回帰を進めている。時代の先端を進む原点は御手洗富士夫氏の23年のアメリカ駐在である。

今では考えられないだろうが、第一次オイルショック当時キヤノンの株価はただの50円まで下がったことがある。現在の6000円台の株価からは想像もできないだろう。そこで御手洗氏はアメリカでコストカッターとして立ち振る舞うこととなった。社員を解雇するという苦渋の決断をしたことを彼は二度としたくなかった。現在のキヤノンがグローバルスタンダードばかりでなく、日本独自の経営のよさを内包しているのはこのせいでもある。しかし、人員のリストラをしなくても最高益を更新しているその経営手腕は羨望の的だろうし、経団連会長に推挙されるのも当然だろう。

私は日本企業の経営者の東西の横綱は御手洗氏と信越化学の金川千尋社長と思っている。御手洗氏が経団連会長に就任すれば今までのように社業優先とはいかなくなる。次世代薄型テレビ事業を次期経営計画の柱としているキヤノンにとってトップの重要度はますます大きくなる。同社がスムーズにポスト御手洗氏を確立できるか市場は注目している。
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