(長月廿九日) 不易流行   

不易流行とは、俳人松尾芭蕉が残した言葉である。「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」即ち「不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、変化を知らなければ新たな進展がない」、しかも「その本は一つなり」即ち「両者の根本は一つ」であるというものである。

「不易」は変わらないこと、即ちどんなに世の中が変化し状況が変わっても絶対に変わらないもの、変えてはいけないものということで、「不変の真理」を意味する。逆に、「流行」は変わるもの、社会や状況の変化に従ってどんどん変わっていくもの、あるいは変えていかなければならないもののことである。「不易流行」は俳諧に対して説かれた概念であるが、学問や文化や人間形成、そしてビジネスにも当てはめることができる。

森羅万象は時々刻々変化即ち「流行」する。先人達はその中から「不易」即ち「不変の真理」を抽出してきた。その「不易」を基礎として、刻々と「流行」する森羅万象を捉えることにより、その中から「不易」が抽出されていった。「不易」は「流行」の中にあり「流行」が「不易」を生み出す、この「不易流行」システムによって学問や文化が発展してきたし、一人ひとりの人間も「不易」と「流行」の狭間で成長しているはずである。

株式相場で一部の銘柄が人気化してくると、いつの間にか「不易」を忘れてしまい、「流行」に走ってしまう。その結果は砂上の楼閣となりかねない。一過性の出来事である「流行」に惑わされて投資するのではなく、企業が事業で利益を挙げ続けることができるかという「不易」を重要視するのは当然だが、一過性の出来事である「流行」に全く意味がないわけではない。「流行」のなかに何を見出すかという眼力、目利きが要求される所以である。情報が溢れる現代社会を生き抜いていくにも、この目利きを基にした「不易」をいかに投資家が見出すか、そこに市場で勝利する手段が得られるのである。
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