(神無月壱日 朔) 金利上昇  

FRBは予想通り利上げを決定し、日米の金利差はほぼ4%となった。日銀は31日、日本経済の見通しを示す「経済・物価情勢の展望」を発表し、2005年度の消費者物価指数は前年度比0.1%の上昇と8年ぶりの上昇を予測、06年度も0.5%の上昇と、ともに今年4月時点に比べて0.2ポイント上方修正した。金融の量的緩和の解除の可能性は「06年度にかけて高まっていく」と、従来よりも表現を強めている。国内の債券関係者では時期尚早との意見も多いが、金利上昇を完全に押さえ込むことは困難であることは歴史が物語っている。

日本人でそう考えている人は少ないのだが、日本の金利水準は、日本人が考える以上に世界経済にとって決定的に重要である。IMFの調査によれば、日本の資金余剰は世界の資本輸出の2割を占めて世界一の規模担っている。つまりゼロ金利・マイナス金利という、その金利の異様な安さから、世界中の投機資金の供給元になっているのである。この資金が世界を駆け巡り、日本以外の高い収益の見込める外国株式・外国債券・商品・不動産で運用する投資家が大量に発生した。もちろん、そのお金が巡り巡って日本株・日本債券・日本の不動産・ハゲタカファンドにも投資されているから、どの市場も堅調だったわけだ。

FRBが利上げをおこなって以来、世界の投機資金は最後の拠所として円を調達してきた。その円金利がついに底離れしそうな気配となったのである。投資家はコストである金利に敏感にならなくてはいけない。日本の資金余剰という金儲けの原資が減少する可能性を日銀が予測したのだから、出来高更新に騒ぐよりも少々心配の種をまいておいたほうがいいのではないか。
0

(長月参拾日) 南無大師遍照金剛  

この頭の片隅に埋もれていた言葉が覚醒させたのは、金剛杖を持ち、遍路姿のお年を召された方々の声だった。私が小さかった時、まだ舗装もしていなかった実家のそばの道を歩いているお遍路さんがいた。彼らは「南無大師遍照金剛」を唱え、うちの祖母はよくお布施をし接待していた。昔の四国、いや今もそうだと思うが、ごくありふれた風景であった。ただ、昔はみな徒歩で回っていたが、昨今は車でという決定的な違いはあるが。

10時に南海難波駅を出た特急「こうや」は快晴の泉南を駆け抜け、紀見峠を越え、橋本から終着駅「極楽橋」に90分余りで到着した。それからケーブルカーで高野山駅に一気に上がっていった。紅葉の時期とはいえ、まだまだ青葉が目立つ。しかし、今日など朝の気温は1度だったようだ。山の空気は冷たく、下界のそれとは全く異なり、別世界に来たようだ。世界遺産登録ということで、平日ではあるが、観光客が多く、奥の院に向かうバスは人で溢れていた。総本山金剛峯寺の近くで降りる。参道をスーツ姿で歩くのは私だけである。境内には外国人も多く、英語やドイツ語、そして中国語、タガログ語も聞こえてくる。

ふと見上げると真っ青な晩秋の空を飛行機が西から東へ飛んでいる。空気は澄んでいるせいか、いやにはっきり機体が見える。そんな空気の中、折角来たのだからと拝観料を支払って、ゆっくり見させていただいた。石庭に浮かぶ石が大師の故郷四国の産との表記を見ると、思わず故郷が思い出される。真言宗の総本山たる堂々たる姿を後にしながら、次来る時は雪がちらついている頃かと襟を立てながら、陽射しが長くなった影を浮かび上がらせる夕刻、山を後にするのだった。
0




AutoPage最新お知らせ