(神無月八日 上弦) 事件の動機  

ワイドショーの担当者にとっては都合のいいニュースがまた起こった。高校一年生女子が自分の母親に対して、劇薬タリウムを投与した毒殺未遂事件である。マスコミは動機が不明ということで、若者の読めない心理に不安を募らせているが、私に言わせて見ればこれほどわかりやすい事件はない。

化学が得意で、皆から誉められて、ますます好きになった、タリウムに興味、それを実験、身近に投与、露見に動揺、というのが一連の流れであろう。ただ、化学が好きな子がすべてこの過程を歩むことはない。動機→結果という一直線的な因果律では、何も説明できないのである。また、父親は好きだが母親は好きでも嫌いでもなかったということに動機を求めようとするマスコミも多いが、そんな子供は無数にいる。なぜ、その子たちは母親を殺そうとしないのか、何の説明にもなっていないことに気付きべきである。

かっとなって殺した、ばかにされて腹が立ったなどという動機は犯人に尋ねるから、後から説明するのである。犯行時にそんなに冷静であれば凶行などするはずもない。だから、動機は実行者の問題ではなく、納得する側の問題でしかない。カッとなっても殺さず、壁を殴る人もいれば、花瓶だけを割る人もいれば、ぐっとこらえる人も多いはずである。もういい加減な自己満足は止めたほうがいい。
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