(師走壱拾四日) Noblesse Oblige  

高貴なる責任とでも訳せばいいだろうか、今の日本に欠けている精神はこれだと思う。二極化が進む現在の日本において、階級制度はないが、貴族でなくても権力を与えられた者は率先して物事にあたらなければならないはずである。

英国のオックスフォードやケンブリッジ卒というのは階級社会であるこの国では特権階級である。第一次世界大戦でこの両大学の学生は大量に欧州の最前線に志願して出陣した。「特権を得ている人間だから国が必要としている時、第一番に危険な場に行く義務がある。」ということである。この大戦は塹壕戦が主体だった。学生出身の兵士は小部隊の隊長になって、突撃命令が下れば率先して出撃しなければならない。恐怖心を払って敵陣に向かっていったはずである。当然第一次大戦の両大学の戦死者は平均を大きく上回った。

「彼は少尉の如く生き、かつ死んだ。」というのはケネディ元米大統領の葬儀におけるドゴール仏大統領の言葉である。この少尉というのは階級ではなく、小隊長という意味であろう。あのベトナム戦争でもこの小隊長の戦死率が一番高かったはずである。

池田潔氏の「自由と規律」(岩波新書)を読んでいると、同じ島国とはいえ、イギリスと日本との差はどこから生まれるのかということを考えさせられ、結局はこの「Noblesse Oblige」に行き着くように感じた次第だ。

0




AutoPage最新お知らせ