(睦月九日) 風雲急を告げるイラン情勢  

1月26日にライス米国務長官が「アメリカ政府は正式に国連安保理への付託を要請する。」と表明した。これでイラン問題はルビコン川を越えてしまったようだ。これを受けて先週末にはIAEAが国連付託を決議した。当然の結果だが、イラン政府はウラン濃縮に向けた活動の再開を表明し、IAEAの核査察も制限するとして、この一連の動きに反発している。

WSJ紙に依れば、米石油開発大手ハリバートン、石油大手コノコフィリップス、電機大手のGEなどの米国企業ばかりでなく、BPやUBS、ABNアムロなどがイランからの撤退や事業縮小を決めたという。イランへの経済制裁と受けとり、エネルギー関連企業が一斉に逃げ出そうとしているわけだ。

ロシアがイラン向けのウラン濃縮をロシア国内で行なってもいいと表明したのは昨年の暮れのことである。これに対してイランは一定の理解を示していたが、ライス長官の発言で穏便な解決策は吹き飛んでしまいそうだ。このままロシアとイランの協議を見守れば平和的解決の道が見えていたのに、ここに強硬な国連付託ねじ込んだから、イランではなくアメリカが平和的解決を望んでいないことが明らかになってしまった。

弱くて臆病な人ははったりで強気の姿勢を取るものである。昨年超保守派のアフマディネジャドが大統領になってからのイランの行動はまさにこの典型である。まじめに解決するつもりなら、多少なりとも相手を立てながら粘り強く交渉することが求められる。現実にアメリカは北朝鮮相手にはこうした交渉手法を使っている。しかし、こと中東政策ではイラク侵攻でも明らかのように全く違う戦略で動いている。

先のブッシュ大統領の一般教書演説でもイラクは名指しで批判され、(もちろん北朝鮮もだが)石油に対するアメリカの強権姿勢は変わっていない。過敏に反応するのは拙速かもしれないが、イラク周辺のエマージング・マーケットは注意をしなければならないかもしれない。急騰しているトルコ市場などその典型かもしれない。こと中東に関しては日本人は関心度合いが低く、確固たる戦力も無いのが実情である。しかし、イラン石油の最大の輸出先は日本であり、韓国、中国が続いている。

いま世界各国でイスラム教徒が例の風刺画に対して反発していることを考えれば、不測の事態も考えられなくもない。心配性の私は今イラク情勢で頭が一杯である。
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