(睦月壱拾九日) レモンの原理  

レモンというのは外側の黄色い皮が鮮やかで厚く、見た目からは中が腐っているかどうかわからない。実際私も買ったレモンの中で中味が悲惨だったケースがあり、それからは売っていたスーパーでは二度と買わなくなったという経験がある。外見だけでは中味がわからないというのは買う時に困る。正しい情報がないと、買っていいものかどうか判断できないのは何もレモンに限られた話ではない。世間を騒がしている経済事件でも後で捜査の過程でいろいろな嘘の情報がぼろぼろ出てくるのだから、買う側はたまったものではない。

しかし、売り手が情報を正しく伝えれば売り手の利益は増えるだろうか。腐っているものでも大丈夫といえば、買い手はその是非が分からないので良いものと同値で売れるというのは、耐震強度偽装問題でも証明されている。つまり、情報を正しく伝えないほうが売り手は儲かるのである。悪いものを先に売り、後でも売れる良いものは売り惜しみするものである。ある一方は多くの情報をもっているのに、もう一方はそうでない状況であれば、価値に合った適正な売買価格はつかないのが通常なのだ。

株の場合は発行会社が圧倒的に多くの情報をもっており、投資家は限られた情報しか持てない。売り手の発行会社は高く株を売るためには悪い情報を出し惜しみやすく、良い情報のみが出てくるのは、レモンの例えと同じ仕組みである。その結果、市場では真価に較べて品質の悪い株が偏った良い情報で取引され、本当は良いはずの株は正直な情報ばかりなので、投資家には評価されないという事態が生じるのである。しかし、こうした状況が未来永劫続くわけはない。ライブドアを見れば一目瞭然である。「騙された」と思う投資家は市場から逃げ出そうとするし、また逃げ出さなくても、騙されまいと出来るだけ安く買おうとするはずである。投資家に正しい情報を出さない株式市場では、安定的な価格形成は期待できないのである。

今日は情報ということに縁があった日だった。
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