(文月廿六日) 甲子園  

今年の高校野球は例年に比べ非常に面白く、TVの視聴率も高いようだ。特に準々決勝は球史に残る「帝京―智弁和歌山」などどれもいい試合だった。地元西宮に住む私もこれは見に行かなくてはと、前任の支店の独身者に電話を入れ、暇だろ、ということで昨日誘いをいれたら、彼も先週甲子園に行ったようで、喜んで、ということになった。

朝起きるとなにやら黒い雲が出ており、野球も嵐の予感か。4強の戦いということだし、しかも土曜日となれば、満員は確実だろうと開始一時間前の10時に阪神甲子園駅で待ち合わせしたが、少し早めに着いた私には電車が到着するたびに人が溢れ出て、一目散に球場を目指していく姿に慌てて携帯電話。「おい、早く来ないと入れないよ。」

何とか内野席の切符を購入し、スタンドに入ると既に銀傘の下は超満員で、内野席もアルプス席の近くしか空いていない。中段のグラウンドを見下ろせる席を確保した。特に甲子園は席と席の間が狭くて、トイレなどで中座するたびに横一列の人たちに立ってもらわなければならないので、通路側を確保できたのはラッキーだった。ただ、あとで近くで大声をあげる売り子さんには少し辟易したが(笑)次第に席を確保するのに苦労する人を見て、ご苦労様と。

しかし、今日は曇天で時々にわか雨という天気で、あの灼熱の陽射しが無くて何とか50を過ぎた体力も持ちそうだ。そうこうするうちに試合開始となるが、開始早々ノーガードの打ち合いで一回が終わるのに30分もかかり、これはどうなるかと思ったが、苫小牧のエース田中が出てきてからは試合進行もスムーズになり、智弁の反撃を抑え、戦前の予想よりは苫小牧の完勝といったところか。隣のアルプス席では応援団が雨にも負けず一生懸命だが、最前列ではダンススクールの関係者かと思われる女性集団が盛んに踊っているのが目につき、内野席の目もその中でひときわ目立つ青い服の女性に釘つけ。

そのアルプス席には次の試合の早稲田実業の応援団の臙脂色のシャツが第一試合途中にもかかわらず続々と入ってきていたが、第二試合が始まる前には上段までぎっしり。今大会一番盛り上がっているといわれるその応援団は、まるで神宮球場そのもので。高校野球の応援よりも早稲田のシュプレヒコールだ。ただ、この日一番観客が盛り上がったのは、鹿児島工の代打今吉が出てきた時である。早実の斎藤もその気配に圧倒されたのか、スリーボールとなったが、ここで踏ん張るのが決勝にいけるチームのエースである、最後は高めのボールを振らせて三振、このシーンを見終えて私は球場を後にした。帰りのバスの中で品のいい年配のご婦人が「元気なうちに何回いけるか、自分の体力を試しているんですよ。」と談笑していたが、不思議な魅力が夏の甲子園にはあるものだ。
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