(文月参拾日 処暑) 伊藤のレンマ  

国際数学連合は数学の応用で画期的な業績を挙げた数学者を表彰する世界最高の賞「ガウス賞」の第一回受賞者に、金融工学の発展に貢献した伊藤清・京都大学名誉教授(90)を選んだと発表した。
               
ガウス賞は、数学が科学技術の駆動力であることを広く知ってもらうことを目的に新設された。4年に一度、数学界以外にインパクトを与えた科学者を顕彰する。 伊藤氏は、1942年に粒子の不規則な運動などを記述する確率微分方程式を発表。物理学、工学、生物学など幅広い分野で使われている。1997年のノーベル経済学賞の対象となったブラック・ショールズモデルも、伊藤のレンマを土台にする。確率的に変動する変数があった場合に、その変数に依存する関数が従う過程がどうなるか、という確率微分方程式の法則性をみいだしたもので、一見、無秩序に見える現象の中から、統計的法則を見出すための手法を表すのが伊藤のレンマである。現在のオプション理論のすべては伊藤の公式が無かったら存在しない。

この公式は、伊藤氏の最初の論文であり、戦争中の役所(内閣統計局)のなかで作り上げたということに驚きを感じる。秋篠宮妃の祖父が上司として自由に時間を使うことができたのも幸いした。日本人としての誇りを感じさせる今回の受賞である。
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