(閏文月壱拾九日) あれから5年  

あの日は仕事から帰って市ヶ谷のワンルームでテレビをつけていた。一機目がタワーに激突し黒煙を上げていた。そこに二機目が隣のビルに激突。LIVEで放送していたニュースステーションの久米宏が予想外の出来事で我を忘れていた。これから世界はどうなるのだろうか、というのがその時の実感だった。WTCには多くの金融機関がオフィスを構え、日系企業も多かった。実際、当時担当していた地銀のNY支店があって、その後の訪問計画が全て○になって、関係者の無事を祈るばかりだった。当時私が勤めていた金融グループも犠牲者があり、周りの友人の知人がまさかあのNYでこのような形で命を失うなど予想もしないことだった。

あれから5年、怒れるアメリカはアフガニスタンを制圧し、さらに強引にイラクまで軍事介入で政権を倒してしまった。唯一の超大国として何をしても構わないというその態度は、イスラムの反感を買い、欧州やアジアでテロは絶えない。混迷の21世紀を象徴する出来事だった。

しかし、時が過ぎるのははやいものだ。風化はしていないが、あの地にまた高層ビルが建設され、また普通のビジネスが始まれば人の記憶から段々と消えていくのかもしれない。ただ、あの事件を境にイスラムというだけで差別される人々の復讐心は大きくなるばかりである。
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