(葉月壱拾日 八専終) 年金問題  

厚生労働省が富裕層に年金の返上を促すために、年金の受給を自ら停止した人を表彰し、希望者の氏名を公表するなど新たな仕組みを導入する方向で検討に入っているという。来年4月から高齢者の申し出で年金の支給を停止できるようになるので、それにあわせて本人に名誉を与えるということらしい。

しかし、公表されることは金持ちの証明であるし、廃止された高額納税者名簿同様、犯罪集団にとっては絶好のターゲットとなる。当人にとって公表されるのもたまったものではないように思える。そもそも返上する人が出てくるのか疑わしい。

老齢皆年金制度は老後を他力で生きようと考えている人にとって好都合なシステムである。負担を少なく貰い、すなわち給付が多く、つまり次世代に犠牲を強いて自分たちだけは良い思いをすればいい、と平気で主張する人はその他力本願的な発想に依存しているのだ。日本における公的年金の破綻問題は少子化問題にあることはいうまでもない。死ぬまで働きたいという人には不条理なシステムであり、仕事を「やむをえず」やっていたため、ピンピンしているのにリタイアを望む人々には全くもって都合のいい仕組みなのである。

しかし、全員が同一年齢に達したらリタイアし、お恵みを受けて生きるのが当然と考える発想は、人間の能力や実績、個性を皆同じとみなす20世紀の遺物でしかない。さらに日本の年金制度は、厚生労働省幹部が天下り先を二度三度と退職金を受け取るシステムを作るなど、悪化の一途を辿ってきた。いわば国家による大規模な詐欺行為に他ならない。

ではどうすればいいか。まずはリタイア希望者と働きたいという者との選択制度を確立すべきである。前者は単純な貯蓄型、後者は公的年金から脱出する自由を付与し、尚且つ両者とも事情で生活に窮した場合は、公的年金を充分に給付すればいいのである。もちろん、選択制度においては途中での変更も可とすべきだろう。そんな単純なことで問題が解決するわけがないと思う者も多いだろうが、大きくなった組織ほど空洞化しているものはない。現在の年金制度を維持する膨大なコストは税金の無駄遣いであり、早急に制度変更にかからなければならない。
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