(長月参日) カウンターから日本が見える  

伊藤洋一著 新潮新書

副題は「板前文化論の冒険」である。伊藤さんとは東京時代に時々お会いしたことがあるが、いつも飲食の時だった。いい店をご存知で私もその後利用させてもらっている「石頭楼」などが記憶に残っている。最近大阪に仕事でよく来ているようで、本書も大阪新町発祥の「浜作」が日本独特のカウンターで食事という文化を作り出したと紹介している。

大阪市西区新町というのは昔は花街であり、船場にも近いことから、旦那衆がお客としてきていたようだ。しかし、その歴史はまだ100年も経っていないという。この関西割烹が東京に進出した機会は、あの関東大震災だった。それまで東京は寿司と天ぷら以外には美味いものがなかった。そこで美味いものの宝庫だった大阪の料理人が一斉に進出したようだ。

確かに目の前で鋭い包丁を並べ料理する様は、安全な国でなければ成り立たない話だし、座敷で食べると違って食事に楽しみが増えるというものだ。人それぞれ自分の好きな店があると思うが、その日仕入れたいい素材で美味い食事を出してくれる、ここ尼崎の「一創」が私の今のお気に入りである。 
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