(長月廿九日 八専始) 雨か涙か  

勝負の神様は2年連続では微笑まない。2003年秋のアテネオリンピックの選考会を兼ねた東京女子マラソンで、高橋は30キロ過ぎの上り坂で減速し、エチオピア選手に抜かれ印象を悪くさせ、翌年の名古屋を快走した土佐に代表を取って代わられた。その二人が2000年の名古屋以来の直接対決となったのが、今日の東京だった。昨年の大会は高橋尚子復活で大いに盛り上がったのだが。

気温10℃の冷たい雨の中のレースは意外にもハイペースで進む。それをリードしたのは高橋ではなく粘りの土佐だった。肘を寒さから守るウォーマーを土佐や他の日本選手はつけているのに、高橋は血管が浮き出しそうな腕には巻かれていない。段々と勢いを増す雨に高橋の腕は30キロ過ぎの坂道を前に、その身体を引っ張る力を失ったのだろうか、ズルズルと後退し、40キロ手前では3位の尾崎にも抜かれ、ゴールタイムは2時間30分さえ切れなかった。初マラソン以来はじめて、日本選手の後塵を排し、雨に濡れた身体が震えているようだ。負けた自分をどう納得させられるか、これからの高橋に注目が集まるのだろう。

一方勝った土佐も15秒差で26分を切れなくて、来年の世界陸上の内定は取れなかったので、勝っても今ひとつ喜べないといったところか。でも6年前の土佐は歯並びがひどかったが、今は矯正歯科に通っているようで、喜びの口元に彼女の意思の強さが見えていた。やはり企業内選手でここのところの駅伝で実戦をこなした土佐に一日の長があったように見える。1年ぶりのレースというのでは、レース感がイマイチだったのではないか。それとちょっと身体を絞りすぎているようだったし、もう少し体力をつけないと上位に入るのは難しそうだ。
0




AutoPage最新お知らせ