(睦月廿日) 上司の犯罪  金融

先日平成電電の大掛かりな詐欺事件で元社長佐藤賢治容疑者と子会社のシステム会社元社長熊本徳夫容疑者が逮捕された。この二人を含めた5人が400億円を超えるといわれる巨額詐欺事件の主人公であるが、この子会社社長熊本は私の元上司である。

彼は福岡の西南学院大学を卒業後、山一證券に入社。国内営業のあと国際部に異動し確かアメリカ勤務だったはずである。その後の経過は知らなかったが、私が欧州系証券会社に在籍していたとき、前任者を追い出して日本株のヘッドとしてやってきたのである。その前は確か当時のスミスバーニー証券だったはずである。結構いい年収でMDとしてきたが、浦安に住んでいて日比谷の富国生命ビルの地下に駐車場を確保していた。英語が堪能で、彼の上司のドイツ人の結構お気に入りのMDだったのである。

当時は前年長銀が破綻するなど金融不安の真っ只中で、その会社も次第にリストラのスピードを速めていた。株式委託手数料が完全自由化になるのに、委託だけで日本株営業をするという先行きの暗さで、私は失望しており、さっさと辞めて関西の家族の下に帰ろうとしたが、何かの縁で当時の邦銀系証券に転職することができ、現在に至っているのである。

熊本容疑者も最後はその会社をやめ(たぶんたっぷりもらったのかな)地元福岡の筋をたどったのか、福岡出身の佐藤容疑者と知り合い、あの平成電電の集金システムを作ったらしい。しかし、当時は日経新聞に大々的に宣伝し、年利10%を謳っていただけに、広告主の依頼とはいえ、公序良俗に反するこの集金システムを記載したことに対して、大新聞は全く反省の色はない。東京に居る時のまだ集金システムが本格化する前に、八重洲の喫茶店で会ったのが最後だった。小柄だかクールで熱っぽく話していたが、あの勢いで話を大きくして、自由自在にカネを操っていたようだ。最近は平成電電破綻から債権者に追いかけられて逃げ回っていたようだが、今回逮捕になったようだ。しかし、檻のなかで命の保障があることが彼には幸せなのかもしれない。

しかし、今回の事件で一番傷つくのは家族である。子供が事件を起こしたときもそうだが、家族が事件を起こしたあとの悲劇は筆舌に尽くしがたい。この悲惨さを十分わかっていれば犯罪に染まることはないが、それよりも前に楽してカネが自分の周りに集まってくることの快感には勝てない人間の醜さがそこにはある。
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