(睦月廿九日 彼岸入り) 鈍感力  読書

渡辺淳一著 集英社

PLAYBOY日本版で連載されていた作家・渡辺淳一氏のコラムをまとめたものである。今年2月に発売されて小泉前首相が安倍首相に激励の意味で用いたことで、マスコミに取り上げられ早々と重刷されているようだ。渡辺先生も印税でウハウハでしょう。現にここに流行病のごとく購入した中年男が居るわけですから。ははは。

さて、鈍感力といわれると何か新鮮な感じがするが、要は「慌てる乞食は貰いが少ない」っていうと実も蓋もない。しかし、最近の過敏症ともいえる社会現象の裏返しということであれば、納得する人も多いだろう。医学博士である渡辺氏ならではの話が多いが、健康のためには血液さらさらで、いつでも寝られることといわれると、簡単なようで難しい。血液がさらさらになるには、あまりくよくよせず、他人にいやなことを言われてもすぐ忘れる、この良い意味での鈍さが血の流れをスムースに保つコツらしい。そういえば、だいたい年とって元気な人は、ほとんど他人の話は聞かないものです。(職業柄実感します。)

この本の中盤は先生得意の男と女の話。よく結婚の幸せを口にしたり、老後しみじみ「あなたと一緒でよかった」などというが、それは長い長い忍耐を経てきた結果のつぶやきである、といわれるとこれまた実感してしまう。私事で恐縮だが、2008年つまり来年には(このまま行けばですが)結婚25年目、つまり銀婚式なのである。よくここまでやってこられたというのが本音だし、お互い鈍感であったのが長く続いた秘訣といわれると、その通りで頷いてしまう。そんな当たり前のことが繰り返されるが、それを実際に作家が書くと売れるというのはエエですなあ。
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