(睦月壱拾六日) 以蔵  ぐるめ

人斬り以蔵といえば、司馬遼太郎の作品で有名であり、幕末の土佐勤王党の武士である。自己流の暗殺剣法を編み出し、盲目的な殺し屋として幕末の世を震え上がらせた岡田以蔵だが、勝海舟やジョン万次郎の命を救った活人剣もあった。

そして今宵の以蔵はままかりのみりん干しから始まった。これをちょいと炙れば、当然目の前の七厘でですが、酒の肴としていけるのだ。神戸のニシムラ珈琲の本店横の路地を入り、すぐ近くのビルの二階に居を構える以蔵は、神戸のぐるめ好きには結構知られている。店名どおり、土佐の美味い素材を板さんが一人で出しているので、今日のようにそこそこお客さんが多いときは、料理の出るペースが遅くなる。でもそれを野暮に云うのはアホだし、落ち着いて美味いものを食う時間は楽しいものである。特に今日のように何十年来の知人と一緒のときは尚更である。

ただ、そのSさんが少々体調不良で、普通の人であれば、飲むペースも控えるのだろうが、我儘な私は全くのマイペース。これでは人はついて来ないだろうなどと自嘲するばかりだ。天然の刺身と喉黒の煮付け、そして最後の卵かけご飯と、いつものコースをいただけば丁度いいお腹具合となってきた。いつもであれば、ここから軽く二次会なのだが、今日は体調優先。

しかし、Sさん、あまり気になさらぬほうがよろしいのでは。病気は気からとも言いますし。でも相変わらずゴチになっている奴が言う言葉ではないのは充分分かっております。ありがとうございました。
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