(卯月六日) 志づ香  ぐるめ

青い大きな暖簾が懐かしい。「深川 志づ香」と白地の文字が格好いい。引き戸を開けると思い出した。愛想は無いが、これぞ職人という手際のよさと季節の魚に工夫を加えた料理が評判の店である。もう何年ぶりだろうか、5年以上が経過しているが味は変わらない。土曜の夜で地元の人が多いのだろうか。家族連れが多いようだ。そして私も東京で働いている長男と一緒である。社会人二年目で会社ではそれなりの実績を残しているようだが、不満もあるようだ。

しかし、愚息の好き嫌いはひどい。親の責任を痛感する次第だ。この店は基本的にはコースなので、単品を頼むのはなかなか難しいのである。結局、枝豆と新じゃがの味噌煮、それと出し巻き卵とお子様並みである。当方は最初にホタルイカのトマトソース和えから始まって、新鮮な刺身、アナゴの白焼きなど月並みな言葉だが本当に美味しい料理が続く。しかし昼が遅かったせいか、最後の〆のうどんを前に膨満感たっぷりで、ゴマだれの稲庭うどんは愚息の胃袋にしまってもらった。

その後私の部屋でひとしきり親子の会話だが、どうやら少し転職を考えているようである。転職9回という私がとやかく言うこともないし、まあ中途半端でいい加減なことだけはダメだとだけ云っておいた。知らぬ間に成長していて頼もしくもあり、やっぱり親としては心配でもある。地下鉄の駅に向う背中姿を見ながら、「どんなに賢くっても、人間自分の背中を見ることができない。」と飲みながら言い聞かせたのをふと思い出した。頑張れよ。
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