(皐月壱拾九日) クラシック  音楽

先日娘の養護学校の先生に誘われて、伊丹でクラシックのコンサートに行ったのを機会に、車でもクラシックを聞くようになった。最近聞いているのは、「The legendary Berlin Concert」である。録音日時は1957年5月26日、今から51年前、というかほぼ私が生まれた頃であり、20世紀を代表するグールドとカラヤンの競演である。グールドは前年にバッハの「ゴルドベルク協奏曲」のレコード・デビューで世界を驚愕させたばかりで、この年、北米出身のピアニストとして世界大戦後初めて旧ソ連で演奏旅行した後、欧州に帰ってベルリンでカラヤンと組んでベートーベンを弾いたのである。

しかし、ジャケットを見ると二人とも若い。特にグールドはまるで少年である。この鮮烈な欧州デビューだったのにいくら探しても録音されたレコードはなかった。その幻の演奏がとうとう世に出たのである。ホールでライブ録音したものでモノラルなのだが、残響がこもってオーケストラが時代がかって聞こえてくる。

ベートーベンのピアノ・コンチェルトはオケの前奏が恐ろしく長い。ベルリンフィルがなにか違うなあ、つまりちょっと古めかしくて、グールドと合わないと思っていたら、ピアノが始まった途端、曲が一変するのである。やはりグレン・グールド、只者ではない。あのカラヤンから完全に主役の座を奪ってしまったのである。第二楽章はピアノのソロで始まり、独壇場であり、第三楽章が終わると万雷の拍手である。これほどの嵐の拍手はクラシックではなかなかお目にかかれないだろう。51年前にベルリンでは奇跡があったのである。そしてその場にある日本人がいた。ソニーの元社長、大賀典雄である。留学中だったらしいが、この演奏をライブで聴けたというのは何とも羨ましい限りである。
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