(葉月壱拾五日 十五夜) 三重ノ海  スポーツ

初日には協会挨拶がある。そこで新理事長が表明したのは、ここ最近の相撲界の不祥事は「すべて協会の責任」と明言したことである。これまでは部屋の親方に任せているといっていたのと比べると、その言葉の重みが違うことに気づく。自分で考えて書いたといわれる今日の挨拶を行った武蔵川新理事長の左の耳に注目してほしい。変形していることに気が付かれただろうか。これは柔道と同じように長年の稽古の証なのである。四つに組み相手の頭と当たる左耳がこすれているのである。

とんとん拍子の出世をしたわけではない。いわば苦労人である。しかし、横綱武蔵丸、大関武双山等を育て、名伯楽でもある。当時の小泉首相が「感動した!」と絶叫した横綱貴乃花が重傷を負いながら優勝し、その後の相撲人生を不意にした取組の相手だった武蔵丸に対して、取組後「勝負に情けは無用」と言い放っている。現役力士から見れば、怖い親方であり、一目置かれていたのである。その横綱三重ノ海、現武蔵川親方が協会の理事長となり、初日から土俵が一変した。まず、手つきの仕切りを徹底させ、すべて仕切り直しとさせた。このためか、幕内の相撲はすべて立会いの変化無しという近年にない結果となったのである。

私が仮住まいしている門前仲町に、ちゃんこ「三重ノ海」がある。伝統の「ちゃんこ」の味を守っている有名店であるが、そこのどっしりした綱を締めた現役時代の三重ノ海の額が飾ってある。TVで「協会の責任」と自分の言葉で結んだ理事長を見ながら、あの味を楽しみたいと思ったのは食いしんぼの性でしょうかね。
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