(如月廿五日) 福祉利権  社会

群馬県渋川市の高齢者向け住宅「静養ホームたまゆら」で19日夜に起きた火災で、あわせて10人が犠牲となった。同施設は有料老人ホームとしての届け出はないが、東京都墨田区が入所先が見つからない生活保護受給者を紹介するなど、都内の自治体の受け皿になっていた。うば捨て山、というよりも、人捨て山だったのだ。

「調査が甘かったとの批判は甘んじて受ける」。静養ホームたまゆらに入所者を紹介していた東京都墨田区の担当者は産経新聞の取材で、たまゆらが県に無届けの施設であることを把握していなかったと認めた。都内の施設には余裕がなく、生活保護を受給している高齢者らの入所先は、近隣県の施設に依存せざるを得ない実態も浮き彫りになった。墨田区保護課によると、たまゆらには墨田区の紹介で50〜80代の男女15人が入所。入居者は20数人だったらしいので、なんと半数以上が墨田区が「捨てた」生活保護者などである。

あの耐震偽装騒ぎの時に登場したホテル建築コンサルタントのおっさんがいた。その土建屋たちが建てたものを調べていて驚いたのは、地方の老人介護施設の多さだった。いずれも「廉価」という名前の耐震偽装の手抜きで、それこそ雨後の筍の如く乱立していたのである。利権談合の土建屋がハードで福祉や介護を食い物にして儲けようとしているのなら、その中身であるソフトで稼ぐ仲間がいても不思議ではない。

介護や食事のサービスを提供する高齢者施設は、老人福祉法で「有料老人ホーム」として各都道府県に届け出なければならない。現在は収容者数の要件も廃止され一人でもいてひとつでもサービスを提供していればことごとく届ける義務がある。しかし驚くべきこと無届け施設について厚生労働省は把握していないのだという。罰則はあるが強制的に届け出をさせることはできない(厚労省)という。こうした「罰則はあるが強制力はない」という法律は実に多い。では何のための法律か。役人に「裁量権」という利権を与えているのである。「しんどい仕事」である生活保護などの「人捨て山」にしている福祉と介護は今後、こうした政官業の利権談合の最後の草刈り場となるのではないか。
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