(弥生廿六日) ソロモンの誤解  金融

日曜の夜にNHKスペシャル「マネー資本主義」があったがその内容についてはどうだかな。確かに今回の危機の源流的なものはソロモンにあった。しかし、それをグッドフレンドに聞くというのはちょっとどうかと思う。やはりソロモンと言えばメリーウェザーにインタビューしないといけないのではないか。

今回のサブプライム問題の元凶といってMBSを否定していたら、ファニーメイもフレディマックも要らないということになりかねないし、米国の債券市場を否定することになる。ソロモンがすごかったのはこの債券市場で圧倒的なシェアを築き上げたことである。それはオファー・ビッドを瞬時に表示し、他社の追随を許さなかったインフラにあった。これを支えるのは巨大な資本であり、GSもMSもSBの後塵を拝するのは避けたいとの一心で、気乗りでない株式公開に踏み切り資本増強に走ったのだ。

ソロモンは国債や社債における圧倒的な引受やセカンダリー市場を背景に、相場操縦まがいの荒稼ぎをし、最後に米国債でインサイダーを行うという極めつきのインサイダー疑惑でこれらの債券トレーディング部門を育て上げたメリウェザーが辞めて、これ以降SBは衰退し、トラベラーに買収されスミスバーニーと合併し、そのトラベラーと合併したシティの傘下になったのである。かたやメリウェザーは1994年にLTCMを設立したが、98年のロシア危機でこのアービトラージ戦略も崩壊したのは金融史でも名高い。

日本でも89年の日経平均最高値から翌年の大暴落の裏では、国債市場で現物を一定のシェアを持てば先物に比べて割高に推移していた現象を把握して、莫大な利益を上げていたのもSBである。かように債券市場ではソロモンはいわばマーケットの風雲児的な存在だった。

SBにより他のGSやMS、そしてLBやMLとの激烈な競争が収益力の高い証券化商品への傾注になったという点では正しいかもしれないが、MBSだけを悪者にする意図はやっぱり変でしょう。でもGSが時の政権に深く介入していたというセリフはNHKが考えている以上に市場関係者は驚いたのではないか。暗黙の了解だったにせよ、お墨付きを公共の電波で発したわけですから。

でも最近はGSやバンカメの決算を見て一喜一憂しているが、GSの決算はレバレッジで債券売買のポジションを膨らませたおかげだ(なにせ今は銀行だし資金調達は以前とは違うし、金利が上昇する懸念もないしね)。しかし商業銀行の決算を見ると結構やばいと思うのはCMBSである。日本のバブル崩壊でも確かに個人の住宅ローン問題は悲劇を生んでいたが、いわば大数の法則がそれでも成り立っていたように思う。しかし企業向けの融資問題の解決には金融再編成も絡んで相当な時間を要したのも事実である。不況が続けばオフィスも商業施設も収益回復は儘ならない。この辺に落とし穴がありそうである。
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