(皐月八日 宵月) 天皇の背中  政治

天皇陛下が29日に埼玉の金型工場を視察され、「ものづくり」の現場を激励されたという。体調を慮ってご公務削減を周囲が考えている中での、このお出ましである。毎年、こうした工場の現場などを訪問されるのは恒例ではあるが、今年は特に、陛下のご意向が強かったとのことである。

「ものづくり」の技術の伝承と雇用確保の両面で長年健闘している中小企業を励ましたいという陛下は、その背中で政治を掌る者たちを叱っておられるのではないだろうか。国会議事堂で野次合戦をしている連中には、そんなことはわかりもしないだろうが。「雇用確保で」「長年健闘している」企業に足を運ばれる姿に、昨日TVで見た中小企業からの貸し剥がしに奔走する銀行を思い出し、彼らは「中小企業を励ましたい」という陛下のお気持ちをどう受け止めるのだろうか。

現地での陛下と現場の人々との微笑ましい交流の様子は、産経新聞のサイトに詳しく報じられている。

<その後、池上金型工業の池上正信社長や同行した高市早苗・経済産業副大臣らと会食、同社の社員食堂で作ったカレーを召し上がった。池上社長によると、昭和9年に東京都内で創業したという同社は、「集団就職で来た中卒の社員を預かるに当たり、お昼ご飯くらいは彼らに温かいものを食べさせてやりたい」という創業者の精神を受け継ぎ、中小企業ながら今も社員食堂で昼食を提供しているという。陛下のご視察に当たっても、宮内庁と相談の上、「わが社として自然な形でおもてなしすることにしました」(池上社長)として、社員食堂で作ったカレーを用意したという。>

<池上社長によると、陛下は同社の管理栄養士に「おいしゅうございました」と声をかけられたそうで、社員食堂のカレーの味には陛下も満足されたようだ。宮内庁によると、陛下は現下の厳しい経済情勢を大変憂慮されており、今回の視察先について特にご関心が強かったという。>

国を預かる人の姿とはこういうものではないだろうか。
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(皐月七日 上弦) 図書館  

月に一度か二度土曜日は娘のリクエストで、香枦園近くの市立図書館に行く。愚妻は娘の付き添いで、CDを借りて必死に身体を揺らせている娘を抑えるのに大変である。いい加減な旦那は三階の自習室で勉強?なのである。先月試験を受けたというコラムを書いたと思うが、実は証券アナリストの一次を受けたのである。この歳での3科目同時受験は思い立った1ヶ月では無理と経済だけ受けたのだが、昨日結果のはがきが来ていて、無事合格だったのである。

これを機に秋に残りの2科目を受けて一次をクリアしようと考えている。営業の仕事をしながらは厳しいだろうし、記憶力も衰えている事実はあるが、1990年代に一回挫折したリベンジなのである。

実際に関数電卓を打ちながら、数学の思考を繰り返すのは妙に偏向性を生じている50過ぎの頭にはとても新鮮である。

たしかに定量分析には限界があるし、それが全てではないのが現実だが、理解したうえでの批判と何となくの批判は全く違う。なぜ分散投資が理論的に正しいことであり、その盲点とは何かを自分で考えるのは有意義である。普段であれば、なかなか終わらない娘の時間にあわすのが苦痛であったが、今の図書館通いの主は私かもしれない。
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(皐月六日) 楽庵  

久しぶりの京都である。実は昨日大阪で前職の方と偶然お会いしていろいろ聞かされたが、相変わらずのようである。だが、今の自分にはそんな感傷に浸る余裕はない。休校措置が終わり、通常の通勤通学状態になった朝の阪急神戸線及び京都線は予想通りの混雑である。前日までの天気と違って、京都はまるで夏の日差しである。

烏丸通り沿いの会社を訪ねて、転職の挨拶をおこなう。一部の会社では、担当者も異動しており、時間の流れの速さを感じるばかりだった。でも初夏の日差しの中で外国人の観光客も多く、それなりに賑わっていたが、この時期京都駅で大量発生する修学旅行生はついぞ見なかった。これでは京都経済もおちおち出来ないのでないか。

夕方までスケジュールどおりの会社訪問を終えた後は、ご褒美の「楽庵」での食事である。名古屋帰りのMさんと待ち合わせして、6時半スタートだが、金曜日の割りに客が少ない。これも不況のせいだろうか。お任せの料理に舌鼓しながら飲む酒は最高である。まあ、就職祝いというMさんの奢りのせいかもしれない。ははは。

東洞院綾小路を東に行ったところにあり、魚が美味いと評判の店だが、実は裏メニューのスモークチーズが絶品なので、行った際は是非お試しを!
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(皐月五日) 裁量権  社会

2003年7月に長崎市で起きた男児誘拐殺人事件で、長崎県の長崎こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)は加害少年(18)が昨年9月、児童自立支援施設を退所後、同県職員と九州の里親の元に向かう途中で行方不明となり、数日後に長崎市で保護されていたと発表した。少年は再び施設に収容された。「自殺するつもりだった」と話しているという。

悲惨な事件の内容を降り返ることはここでは伏せたい。私が疑問に思ったのは、なぜ去年9月に起きた失踪事件について、今になってわざわざ公表したのか、この点だけである。処分後の少年について一切を明らかにしないのが、これまで当局が守ってきた原則である。それを、今回は少年のその後の経歴まで暴露している。以下のとおりである。

<同センターによると、少年は07年9月、さいたま市の児童自立支援施設「国立武蔵野学院」を退所した。その後、別の児童自立支援施設に1年間入所し、里親の家へ向かうため九州のホテルに泊まった昨年9月17日早朝、引率していた県職員2人が目を離した間にいなくなった。>

こんなことが出来るのならば、日本中が不安になっていた「酒鬼薔薇」についてのその後の情報を公表すればよかったではないか。しかも犯行時の年齢はあちらの方が上である。今回のこの情報の暴露がいけないと言っているのではない。むしろ、こういう公表はどんどんすべきだと思っている。しかし「何を原則としているのか」と聞きたいのである。

司法当局はいったい何を「基準」としているのか。司法当局であれば、恣意的な運用が許されるのか、マスコミは当局に問うべきではないか。
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(皐月四日 夕月) ハゲタカ  経済

最近映画「ハゲタカ」のCMがよく流されている。6月6日から公開されるようだ。NHKで数年前に放映されたTV版は良く出来たドラマで、私も再放送を何度も見たぐらいである。

ところで、映画版のストーリーとしては、トヨタを想像させる日本のトップ自動車メーカーが中国の国富ファンド(SWF)に買収を仕掛けられるという話らしい。実際、日本の自動車メーカーは、買収される可能性を否定できないほど厳しい状況にさらされている。日本車メーカーは利益率の高い高級車や大型車の生産拡大を目指し、集中的に資本投入してきた。同時に、金融事業を増強していった。しかし、先進国では高級車や大型車への需要が減退し、世界中に売れない車の工場を大量に抱え、破産寸前のGMをそう笑えない状況にある。驚くかもしれないが、中国のSWFがトヨタを買収するという映画の設定は荒唐無稽な話ではないのだ。

そうしたなかで、明るい話がハイブリッド車の人気化である。EUでは、2012年までに新車の走行距離1Kmあたり二酸化炭素(CO2)平均排出量を130gに抑える新規制の導入を決め、規制未達のメーカーに対しては罰金を科すことを決定した。日本でもエコカー減税制度が、HV車のような低燃費車の購入を促している。こうした環境規制や優遇税制等から、消費者サイドでの強いHVニーズが生じ、そう遠くない将来に世界の新車販売の5台に1台がHV車となり、普及台数の10台1台がHV車になるとの予想がされている。

トヨタやホンダのようなHVで進んでいるメーカーが生き残れ残存者利益を享受する可能性が増しているわけだが、課題も多い。これまで、大型車・高級車に生産シフトした結果、小型車のコスト競争力や利益力が弱まってきているのだ。実はHV車は小型車の中でも利益率が低い車種である。HV車の生産拡大によるスケールメリットでのコストダウンだけでなく、利益率を上げるための電池等のHV車特有の部品へのコストダウンがどれだけ進むかが鍵である。
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(皐月参日) 核実験  

昨日25日、北朝鮮が核実験と射程130キロの短距離ミサイル発射を実施したのに続いて、同日午後5時ごろ、北朝鮮北東部の咸鏡北道舞水端里からさらに地対空短距離ミサイル2発を発射したと韓国聯合ニュースが伝えた。今、北朝鮮に何が起こっているのだろうか。

今金王朝の内部では、後継者を巡る内紛がいよいよ頂点に達しているのではないか。だいたい毎週の週刊誌を見れば、ある雑誌はやはり正男だと書き、別の雑誌はいやいや次男だ三男だとかき立てている。それだけ混乱しているのだろう。そして、それらの勢力争いのポイントはいかに軍の支持をとりつけるかである。その軍人が一番喜ぶのは「ぶっ放す」ことなのだろう。

先日のテポドンは「成功」だっただろう。であれば軍としての今だ残っているトラウマは前回の核実験が「失敗」したことである。宣伝機関が成功した成功したと言い立てるほどに、世界中の軍や情報関係者に実は失敗だと把握されていることが、「先軍政治」を標榜する北朝鮮の軍幹部としては悔しかっただろう。今回、実験を強行させたのは、そうした軍幹部のフラストレーションを空気抜きし、自らの派閥への支持をとりつけようとした、いずれかの勢力が背後にあるのではないだろうか。実際これまでもミサイルの発射の後などに、大きな発表があった。今回も、核実験の成功に続いて、金正日の後継者の発表がないとは言い切れない。だとすれば、核爆発とミサイルの乱射は後継者決定の花火だったということにもなる。

しかし、こうした緊迫した国際政治の舞台に日本の為政者はいない。実験を受けて官邸にかけつけた麻生太郎首相はモーニング姿だった。千鳥ヶ淵での式典に出席していたらしい。外交の責任者である中曽根弘文外相はハノイにいた。相変わらず事前の察知能力ゼロのおめでたい政府である。
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(皐月弐日) 長期金利の上昇  金融

日米欧で長期金利が上昇している。3月以降、世界経済の底入れ期待を背景に金利上昇が目立つようになり、最近は各国の財政赤字拡大や国債の格下げへの懸念が金利水準を一段と押し上げている。日本の10年物国債利回りも1.43%と、0.26%上がっている。
     
日経平均採用銘柄の今期予想配当利回りは1.62%。前期基準では2.00%だったので、利回りは0.38%下がった。一方、10年もの日本国債利回りは1.17%から、1.43%に上昇したので、債券利回りと配当利回りが接近している。そもそも株式の配当は、債券の利率と異なり、企業が勝手に支払額を変更することができる。そこで、業績によっては配当が支払われなかったり、減額されたりすることが多々ある。株式の配当利回りは債券の利回りよりも、このリスクの分、リスクプレミアムを上乗せして高いのが妥当だとされている。

現在の両者の金利差がごく僅かだから、現在に日本では株式に投資するよりも債券に投資したほうが良いということになる。もっとも「株は、株価が上昇して儲かる機会があるから債券の利回りより低くていい」と言われるかもしれない。確かに、一時期はそう言われてきた。

しかし、利益が長期的に増えて行かず、株価も長期低迷する20年を経た今は、配当利回りはリスクの分、債券利回りを上回っていないと不条理である。株式は、他の投資と同様、現金の見返りを返してくれることだけに意味がある。キャピタルゲインを長期でコンスタントに返してくれないのなら、高い利回りの配当が支払われなければいけないだろう。
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