(卯月壱拾日 みどりの日) フィアットの野望  経済

しかし長い連休である。特に遠出をするわけでもなく、社会人3年目の長男が帰省しているが、こちらの友達との時間が多く、家族一緒の行動もない。ただ娘は別。ははは。

さて、休みボケにならないために新聞を改めて読み直している。イタリアの首相は奥さんに愛想をつかされているようだが、同じイタリアのフィアットはなかなか強かのようである。

米自動車大手のクライスラーが破産法11条を申請したのは4月30日だが、よく読むとこの救済は奇妙である。米国とカナダの両政府は法的管理下の運転資金として総額105億ドルの追加支援を行う。しかし、政府の持分は10%未満で、過半数を握るのはUAWである。株主構成はこうなるのだ。

UAW・・・・・55%
フィアット・・35%
政府・債権者・・10%

フィアットはまず、クライスラー株20%を取得。その後、株式を追加取得し、出資比率を35%まで上げる。また、クライスラーが公的資金による融資を完全返済できた場合、2013年にも51%まで出資比率を引き上げるオプションも保有している。しかし当面、クライスラーに対する資金援助は行わない。高燃費の小型車技術等の提供だけである。

クライスラーとUAWは、以下の合意をしている。
1)UAWが管理する退職者向け医療保険基金に対し、46億ドル社債を割り当てる。
2)2010〜2011年にも3億ドルの払い込み。2019〜2023年には8億ドルまで拡大。
3)同基金はクライスラー株も受け取り、取締役会に代表を派遣。将来的には、取得したクライスラー株の売却を認められる。

いわゆるレガシーコストを、この形で決着させたのである。フィアットにしてみれば、数値化できなかったコストを数値化したことで、リスクテイクできるようになったわけである。フィアットのコストは、エンジン工場の新設がメインになり、かなり安いコストでクライスラーを買収できたことになるという破綻劇だったのである。

当面、フィアットの小型車をどれだけ導入して米国内シェアを取れるかがメインの課題になろうが、合意内容を見ると、フィアットの金銭的負担がかなり少ない。フィアットから見ればクライスラー再建が上手くいかなかったとしてもそう大きな負担とはならない。問題は、現在垂れ流し続けている毎月の赤字をどこまで縮小できいるかだけのようだ。

フィアットがイタリアで自社をリストラした数年前の経験を再現できれば大方の見方とは異なり、意外にすんなり再建できるかもしれない。さらにフィアットはGWの子会社のオペルにも触手を伸ばそうとしているようであり、案外自動車業界の地図が変わるかもしれない。
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