(皐月廿日 更待月) 意見広告  社会

北朝鮮による拉致問題の解決などを呼び掛ける意見広告を韓国の新聞3紙に掲載するための募金が目標額の1000万円に達したと、ジャーナリストの有田芳生や大学教授らでつくる「意見広告7人の会」が発表した。朝鮮日報、東亜日報、中央日報に6月中に掲載される予定である。同会は2月から米紙ニューヨーク・タイムズに意見広告を載せるため募金を始め、掲載費用を差し引いても約550万円の余剰金が出たため、引き続き韓国紙への広告掲載の募金を行っていた。

最近北朝鮮の核実験などの報道はされるが、邦人拉致の報道は少なくなったと思いませんか?日本人としてこの問題を自分自身の問題と改めて認識して欲しいものです。募金をした者の一人として、広告予定稿をお伝えいたします。

北朝鮮に人権の光を!
――日本人から韓国人への手紙――

大韓民国の国民のみなさん。

私たちは、北朝鮮によって拉致された人々を一日も早く救出することを目指す民間のグループです。韓国のみなさまとともにその目標を現実のものとすることを願ってこの手紙を書いています。

3月11日、釜山で、日本人拉致被害者、田口八重子さんの兄である飯塚繁雄さん、八重子さんの息子である耕一郎さんが、87年の大韓航空機爆破テロ事件の実行犯、金賢姫元工作員とはじめて面会することができました。面会実現にあたって示された韓国政府と国民のご理解に対し、私たちは深く感謝するものです。

金賢姫元工作員は爆破テロ事件のさい、偽造の日本旅券を持ち日本人を装っていましたが、彼女に日本の言葉や習慣などを教えたのが八重子さんでした。78年に北朝鮮工作機関によって日本から拉致され、多数の韓国人を犠牲にするテロにかかわることを強制されたのです。

北朝鮮による拉致の被害が最も大きいのは、言うまでもなく韓国です。韓国政府は朝鮮戦争のあとに北朝鮮に拉致された被害者を約500人としています。朝鮮戦争の捕虜多数もいまなお韓国に戻れず、炭鉱などでつらい仕事につかされているといわれています。

拉致された被害者の中には、78年に仙遊島の海岸から失踪した高校生の金英男さんがいました。金さんの運命が明らかになったのはつい3年前のこと。77年に13歳で拉致された日本人少女、横田めぐみさんと北朝鮮で結婚し、娘も生まれています。金英男さんや横田めぐみさんは、貴重な青春をだいなしにされ、八重子さんと同じく、心ならずも北朝鮮の対南工作に携わることを強いられたのです。

2002年に日本の小泉首相が北朝鮮を訪問したとき、それまでしらを切っていた北朝鮮当局がついに日本人拉致を認めました。しかし、これは解決への道のりのほんの一歩にすぎません。金正日国防委員長は13人の日本人拉致を認め、そのうち5人だけが四半世紀ぶりに帰国することができました。北朝鮮は八重子さんやめぐみさんをふくめ全員が死亡したと日本側に伝えましたが、その死亡の「証拠」なるものはことごとく虚偽でした。また、各種調査から、日本人拉致被害者は十数名という人数にとどまらないことが確実になっています。

北朝鮮による拉致被害をこうむっているのは日本と韓国だけではないことも明らかになりました。帰国した日本人拉致被害者の一人、曽我ひとみさんは、軍事境界線を越えて逃亡した米兵と北朝鮮で結婚していました。その米兵は、北朝鮮には彼を入れて4人の米兵がおり、レバノン人、タイ人、ルーマニア人の拉致被害者が配偶者になったと証言しています。また北朝鮮に拉致された後に脱出に成功した、韓国の映画女優、崔銀姫(チェ・ウニ)さんは、北朝鮮にいたとき、マカオから拉致された中国人女性、孔(コン)さんと会っていました。

北朝鮮による拉致被害は、国際的な広がりを持っているのです。どこの国籍を持つ者であれ、拉致被害者を一人残らず救出し、一日も早くそれぞれの故郷で待つ家族と再会させなくてはなりません。

分断の悲劇の最たるものは離散家族の問題です。実はこの問題も日本と無縁ではありません。59年以降、「地上の楽園」という北朝鮮の宣伝に騙されて9万3千人の在日韓国・朝鮮人が北朝鮮へと移住しました。その中には6000人を越える日本国籍者もいました。彼らはその後、日本の親族と手紙の交換も自由にできず、別れ別れになったままです。資本主義の国から来たとして特別な監視を受けたばかりか、政治犯収容所に送られたものも数多くいます。衛星写真で確認された6か所の政治犯収容所には、20万人もの人々が、人間としての最低の扱いを受けることなく、いまなお死に直面しているのです。

私たちは過酷な人権侵害に苦しんでいる北朝鮮の人々をも助けなければならないと思っています。拉致と北朝鮮の民衆の奴隷化は人権の否定という同じ根を持つ悲劇です。

90年代後半、人口2000万の北朝鮮で300万人が餓死したと推定されています。天災が原因ではありません。北朝鮮の指導者はこの時期に核兵器とミサイルの開発に巨額の資金を投入していたのです。破産国家でこの現実を可能にしたのは、民衆が声を上げることを許さない基本的人権の剥奪があるからです。北朝鮮の核とミサイルという世界に対する脅威を真に取り除くには、基本的人権の拡大が必要です。

4月5日、北朝鮮は国際社会の非難のなか、「人工衛星」打ち上げを口実に長距離ミサイルの実験を強行しました。しかし、韓国と日本を射程におさめるミサイルはすでに多数が実戦配備されています。時が過ぎるほど危険は増していきます。猶予は許されません。

私たちは民主主義、基本的人権を北朝鮮に行き渡らせることが、拉致被害者を救出するだけでなく、北朝鮮民衆の幸福と東アジアおよび世界への安全をもたらすと信じます。さらに、平和的で円滑な朝鮮半島の統一は、北朝鮮が民主化されてはじめて実現するのではないでしょうか。

大韓民国の国民のみなさん。

日韓両国民は手を取り合って、北朝鮮を真の民主主義の国に変える闘いに進んでいこうではありませんか。

1)国連はじめ国際機関や国際会議において、北朝鮮の人権問題を訴えましょう。

2)人道援助を含む北朝鮮に関する個別プロジェクトを、人権の改善をはかることに結び付けましょう。

3)脱北者から、拉致を含む人権問題についての情報をより多く収集し、日韓で共有するようにしましょう。

4)問題の緊急性にかんがみ、拉致被害者と政治犯収容所の実態を調査するための国際的な「人権査察」を求めましょう。

意見広告7人の会 (呼びかけ人 氏名略)
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