(閏皐月壱拾四日) 株式のリターン  金融

先週の日経を読み直していたら、2日の経済教室に目が止まった。イボットソン・ジャパンの山口氏が日本株の長期データ分析をおこなっていた。結論は以下の通りだろう。

第1に、長期的なリターンは株主資本の成長と配当というファンダメンタルリターンからのみ生まれている。第2に、株価の激しい変動はほとんど評価変動リターンの変動によるものである。第3に、直近25年ではファンダメンタルリターンの水準が著しく低下したが、それは上場企業のROEが低下したため。

同氏による1962年から2008年までの東証一部株式のリターンの要因分解は次の通りである。

期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1962〜1984  1985〜2008 

年率平均リターン         15.7%   4.9%
うち評価の変動によるもの    1.6%    0.0%
うち企業利益によるもの     14.2%    4.9%
うち株主資本の成長       10.2%    3.9%
うち配当支払い         3.9%    0.9%

高度成長期(1962〜1984)の日本では、株式投資リターンが年平均15.7%と債券リターンの7%や他国株式と比べて圧倒的に高かった。その理由は、日本企業が毎年14.2%の高率の利益を上げたからに他ならなかった。(そのうちの3.9%を配当に回し、10.2%を内部留保にした)その高利益を見て、投資家も強気になりPERが年平均1.6%づつ上昇した。ところが、その後のバブル発生と崩壊の25年では、利益率が14.2%から4.9%へと大幅に落ち込んだ。これを反映して、株式投資リターンも4.9%と10%以上落ち込んだわけである。

投資家が弱気になったり強気になったりする評価の変動はあるものの、長期で見れば、悲観と楽観がちょうど打ち消されて影響はゼロになっている。株は人気投票だとする論拠の全面否定である。イボットソンによれば、長期で見れば企業の利益率によって株価が決まるという証明でもある。

年金資金を悩ましている日本株の過去4半世紀の動向は投資家の人気投票ではなく、日本企業の利益率が落ち込んだ結果によって起きたことを示しているだけのことである。

つまり日本企業が高成長を回復しなければ、海外からの投資も危ういということか。暗いですなあ。
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