(文月九日)  医療賠償  社会

福島県立医大付属病院ではこの4月から、帝王切開経験者の自然分娩の受け付けをやめている。通常より子宮破裂などの危険が高い一方、産科医と婦人科医が計2人しかおらず、当直時の緊急の帝王切開ができないのが理由という。この病院では1995年、同市の幕田美江さんが同病院で子宮破裂を起こし、帝王切開で出産した次女は脳性まひを負い2000年に死亡した。幕田さん夫婦は、同病院のミスとして損害賠償を求めて提訴。今年2月に仙台高裁で和解している。その条件にはインフォームドコンセントや、子宮破裂に速やかに対応できる体制を整えることなど再発防止マニュアルの作成が含まれた。
     
福島県は出生率が全国で2位か3位の、日本では珍しく女性が子供を積極的に産もうとする県である。しかし、2008年の出産1000人に対する死亡者数を示す周産期死亡率は平成17年を契機に悪化して全国のワースト5位になっている。福島県では女性が出産することが急速に高リスクになっている。

理由は、医療の適正基準を医師が決めているのではなく、裁判所と検察と警察が決めているから。通常なら、専門家の医師が医療内容を決めているのが福島県では異なっているのだ。平成17年には、通常の医療行為をした医師を警察が逮捕するという事件が起きた。この結果、福島県のほとんど全ての産婦人科が廃止されて無くなった。

帝王切開経験者の自然分娩では一度子宮に傷が入っているため、もろくなっており、150人に1人位は子宮破裂が起きる。この対処のため、帝王切開手術を破裂後18分以内にするのが、適正な処置だと裁判所が決めたのである。(これが出来るのは、自然分娩も手術室でして、医師も有り余るほどいる産科のみ。日本にはまず存在しない。)

こうした基準が出来てしまえば、病院にできる対処は「看板を下ろすこと」しかない。低確率でも不幸な事例が顕在化すれば、たちまち有罪になるからである。

日本の医療は裁判所によって崩壊しつつある。
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