(文月廿四日 下弦) アップルの野心  経済

アップルが新型iPod nanoやiTunesなどを公開した。イベントには、病気療養で仕事を休んでいたスティーブ・ジョブズCEOも登場したようだ。
    
私はアップルがいずれiPodから撤退するのではないかと考えていた。値段がそう変わらない水準でiPodは音楽プラスアルファのみを提供し、片やiPhoneは電話・ネット機能、ゲーム機能を提供するのだから、消費者がいずれiPodのバカ高さに気付いて、iPhoneに収斂するのではないかと考えていた

さらにソニーのMP3プレーヤーがiPodの売上を上回ったという記事を目にしたが、アップルは続々とiPodの新型を発表し、撤退する気などさらさら見せないようだ。

「ソニーはデジタル・オーディオ・プレーヤー(MP3プレーヤー等)を発明したが、アップルはデジタル・オーディオ・プレーヤーをイノベートした。」という言葉がある。発明とは技術的に新しいものを生み出すことだ。そしてイノベートするとは、新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。ソニーとアップルのMP3プレーヤーは、技術的にはほとんど同じだが消費者にとって影響の大きな、デザインが異なる。技術がライバル間でそう変わらない現在は、デザインの差別化が競争優位をもたらす。だからこそiPodやiPhoneは日本の磨き職人の業が無いと出来ない鏡面仕上げを採用しているのだろう。

ビジネスモデルにしても、簡単にダウンロード購入できるiTunesの仕組みを採用したことで、イノベーションが生まれた。アップルの根底にあるのは、コンテンツをダウンロード購入して消費者に利便を与える事にあって、ハードウェアそのものにはデザインがかっこいい以上の意味は無い。

そう考えれば、iPodは音楽、そしてゲームのダウンロード購入用専用機としての特異性をそのまま追求することが、アップルにとっての最も儲かるビジネスモデルなのだろう。復帰したスティーブ・ジョブズの卓越は、このデザインとビジネスモデルに力を集中することにあるようだ。
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