(如月七日 振替休日) 年金債務  金融

今日の日経に三菱重工が年金を減額との記事が一面に出ている。先日はイオンが4月から年金支給を60歳から65歳に繰り下げるとの報道もあった。こうした記事が数多く目にするようになったのは、上場企業が社員の年金や退職金の支払いに備えて積み立てるべき額の不足分に関する会計処理が大きく変わるからである。つまり2012年3月期から積立不足額は全額負債として計上される。会計基準の国際化に伴う措置で、多額の積み立て不足を抱える企業は自己資本が減少して財務が悪化するのは明白である。     

もうすっかり話にもならなくなった日航も破綻した原因の1つにOBに支払う年金の原資となる資産額が全く足りなかったことが挙げられるのだ。支払う年金の金額と言うのは退職した時に社内規定で予め決まっているのだから、債務としてバランスシートに載せるべき性格のものだ。しかし、日本の会計制度は、年金債務を簿外債務にすることを許してきた。債務に対応する資産はBSに載っているのだから、債務だけ載っていないというのは「不正経理」以外の何者でもない。

しかし資産は天から降ってくるものでもなく、資産が増えずに負債だけ増えるから、その分だけ資本が減少する。ひどい会社ではこの資本不足で債務超過に陥る企業もあるかもしれない。では企業はどう行動するか?年金原資を急激に縮小出来る会社は少ないことを考えれば、増資に走る企業が続出するという事が起きるのではないか。

ではなぜ年金債務が大きくなっているのか。まずは予想よりもOBが長生きしていることだ。死ぬまでの保証なのだからこれだけ寿命が延びれば仕方がない。しかし最大の原因は年金のなかで大きなウエイトをもっている国内債券の利回りが低位安定しているためである。

年金債務は現在と過去の従業員への退職金総支払額を現在価値に割引して計算される。このときの割引率として使うのが過去5年程度の国債利回りにプラスアルファしたものだ。金利が高ければ割引率が多くなって年金債務は減り、金利が低くなれば割引率が少なくなって年金債務が増える、ということだ。

もしインフレが起きれば金利も上昇するから、年金債務も減って企業のBSは健全化するのだ。インフレになれば国債の利子負担が大きくなるなどという評論家も多いが、国家財政の中の年金負担分に目を向ければインフレOKなのである。

年金債務問題は目先は増資という株安要因であるが、長期的にはインフレを起こしたいという動機にはなるはずである。
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