(皐月六日) ルイスの転換点  経済

「世界の工場」といわれる中国で、労働者が待遇の改善を求める声が大きくなっている。ストライキは中国の憲法では認められていないはずだが、マスコミには頻繁にこの文字が躍っている。最近ではホンダやトヨタなど日本メーカーが部品工場のストライキで操業停止に追い込まれている。台湾系の世界有数の電子機器メーカー「富士康」では自殺者まで出ている。内外の批判を浴びて大幅な賃上げに踏み切ったところも多いようだ。

この中国で頻発する労働争議に対して、「ルイスの転換点」がやってきたとする説を多く見るようになった。ルイスの転換点とはイギリスのノーベル賞経済学者アーサー・ルイスが「工業化前の農村は余剰労働力を抱えているが、工業化が始まると、農業部門から工業部門へ余剰労働力の移転が始り、しだいに農業部門の余剰労働力は底をつく。」としたもので、「以降は、雇用需給が締まるため、賃金率の上昇が起きる。」というものである。

中国の製造業現場をみてみると、沿海部の労働力は16〜30歳の人員だけに留まらず、ライン作業で便利なように身長が均一の人員だけ採用したりと、極めて雇用者優位の市場であり、労働条件も劣悪なのは事実である。さらに外資系輸出工場の多くはリーマンショックの2008年秋以降、人員整理するだけでなく、この1年半以上昇給がなかったのである。

日本では前年に比べて8割の人が収入減になっている。したがって賃金が上昇しないのを当たり前と思うが、中国は昨年でも10%近い成長プラスインフレなので、賃金が15%以上上がらないと実質減給なのだ。酷い待遇を外資系企業がしているので、その不満が爆発した要素が強いと見たほうがよいのだ。

中国は30年前にはGDPに占める国民給与の割合が5割を超えていたのが、今では4割にまで下がっていると云われている。国が成長する一方で、労働者はその恩恵を十分に受けていないのは過去の日本でもそうであったように、どこかで争議となりやすいのだ。

中国を一方向から見ると見誤ることもある。やはり一時情報をどれだけ収集出来るかと云うことである。
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