(皐月廿日) 米金融規制法案  金融

アメリカの今回の金融改革法案の主な骨子は、(1)消費者金融庁の創設、(2)デリバティブ(金融派生商品)の規制、そして(3)破綻に直面した金融機関は公的資金を投入するのではなく、大手金融機関を差し押さえ、解体する際の新たな政府方針の策定する、等である。サブプライム問題で個人の投資家にリスクをきちんと説明しないまま、金融派生商品を販売した事に対する反省と今後の監視を強化する為に消費者金融庁を設立し、リーマン破綻の原因ともなった金融派生商品等への過度なレバレッジをかけ過ぎないように規制し、更に「大きい金融機関は破綻に直面しても、最終的には政府が面倒をみてくれる」(Too big to fail)といった悪しき暗黙の了解から、「大きい金融機関でも破綻に直面すれば、公的資金を入れて救済するのではなく、粛々と清算手続きをする」というものだ。

一見、これは今回の一連の金融危機の反省を生かした立派な政策のように見えるが、政府が最後の貸し手にならないという宣言をされれば、他国のまともな投資家はアメリカに対して同対処するだろうか。そもそも政府は金融危機に際しては、これを積極的に介入する(公的資金で支援等)ことで乗り切ってきた歴史的事実がある。資本主義は万能ではなく、市場で全てが解決で来るほど市場は完璧でもなければ効率的でもない。資本主義と市場の不完全さを補完するのが政府の役割であるにもかかわらず、アメリカは不完全さを補完する役割を放棄しようとしている。

危機に際して政府は新しい指針を策定するのではないかとの見方もあろうが、ユーロの通貨危機を見ても分かるように、パニックや危機は事前の指針や予想をはるかに超えてしまうものである。結果として世界の預金者はアメリカの金融機関から、EUや日本のように政府が最後の貸し手となって面倒をみてくれる他の国の金融機関に資金がシフトしていくのが、普通に考えれば自然の流れだろう。それはドルの売りになるし、米国株が売られる要因となるのではないか。
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