(水無月廿八日) 小麦禁輸  経済

ロシアでは深刻な干魃の影響などで小麦の不作が伝えられ、小麦の禁輸に踏み込んだようだ。この影響もあって小麦価格が記録的な上昇を続けている。欧米の商品先物市場では7月は40%超の値上がりを記録し、1カ月間では1959年以来51年ぶりの上昇率となった。小麦取引の国際的な指標となっている米シカゴ商品取引所の小麦の先物価格は、7月で1ブッシェル(約27キロ)=4.64ドルから6.60ドルまで急騰した。2008年の原油を中心とした商品市況の急騰を思い起こさせるほどだ。

1972年にも旧ソ連が壊滅的な干魃に見舞われ、深刻な小麦不足に陥った。ソ連政府は小麦不足を補うために国際市場に飛びつき、米国で手に入る余剰小麦をほぼ全量買い占めた。折からのオイルショックもあって、ソ連の小麦買い占めは全世界で食料価格高騰の引き金を引いた。小麦価格は1974年までに4倍近くに跳ね上がり、大豆やトウモロコシ価格にまで波及した。

米国では、ソ連の買占めに加えて大豆の作柄が不調だったため、大豆製品だけでなくて大豆を飼料にしている牛肉までが値上がりした。牛肉の値上がりは牛肉なしで過ごせないアメリカ国民の不満を飼った。米政府は大豆を国内にまわし、値上がりを防ぐため大豆の海外輸出をストップした。日本は大豆の多くを米国からの輸入に依存していたのでショックは甚大で、大豆の国内価格が暴騰し、豆腐、醤油、味噌など、あらゆる大豆製品の値段が2倍から3倍にはね上がった。豆腐を始め、パン、うどん、精肉など食料品は軒並み値上がりして国民生活を圧迫した。

オイルショックといえばトイレットペーパー騒動ばかりが記憶されているが、この大豆危機の方が私には記憶に残っているのは親戚が豆腐屋だったためかな。

さて小麦は40年前の悪夢がよみがえる状況だが、米国の過去2年間の豊作のおかげで、世界の小麦の在庫が当時より潤沢であり、投機筋にあおられて投資家が右往左往しないように願うばかりだ。しかし報道によれば東南アジアの米生産国では、ベトナム中部の高温乾燥によりイナゴの被害が発生し、米の生産・輸出において世界第2位のベトナムの米の生産量は3分の1減少しそうでタイでも同様のようだ。

とはいえ最近の新興国の発展ぶりを考えると、この食糧問題は気候要因のみだけで反応しそうにもない。
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