(文月廿五日) 企業年金運用  金融

企業が年金資産の運用を相次いで見直しているようだ。運用の中心を株式から債券に移したり、新興国の株式やインフラなどを投資対象に加えたりする動きが目立つという。国内の主要年金基金の日本株への投資比率は1999年度に39%だったが、直近の2010年6月末は17.9%でこの10年間で半減している。では今のトップ資産はというと日本の債券が50%だという。

釈迦に説法だが、年金運用の原則はまず第1に資産の配分比率であり、第2に一度決めた資産配分が後に大きく変動しないようにリバランスのルールを決めて、それを実行して配分比率を維持することである。そもそも投資リターンの90%は資産配分で決まり、投資のタイミングや銘柄選択によるリターンは10%以下というのが実態なのである。

つまり日本の年金はこうした原則を理解していないということで資産配分が大きく変動するのはリバランスをきちんと実行していないという証拠でもある。特に日本株の先行きが悪そうだから、日本株を売って日本の債券を増やすということもまともな運用者ならしないはずである。

債券の長期利益率は「インフレ率+リスクプレミアム」であり、デフレで金利が低位安定している日本ではインフレ率がマイナスかつリスクプレミアムも低いので、期待リターンはかなり低い。そして株式の長期利益率は「配当利回り+配当成長率」とファイナンスの教科書に載っているはずである。日本株は両方低いものの、日本債券の期待利益率よりは高いので、日本株から日本債券にシフトするのはおかしいのである。

期待リターンを維持するには日本よりも長期利益率の高い外国株や外国債券を多く配分するアロケーションにするしかないという論理は目下の円高など為替への異様な不安感で飛んでいるのだ。
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