(葉月壱拾壱日) 中国の野望  経済

尖閣列島沖の中国漁船の違法行為が日中関係に緊張感を与えている。体制が違うことのリスクを今ほど感じることはない。その中国に進出している企業も多いが、この問題である問題が浮かび上がろうとしている。

それは進出した日系企業が中国の税務当局から巨額の追徴課税を受けるリスクが高まっていることである。この中国当局の武器は「移転価格税制」である。中国もようやく法制度が完備され執行体制も整いつつあるようだ。数年前、武田薬品工業やソニーなど一流企業が相次いで日本の国税当局から100億〜1千億円単位の申告漏れを指摘された時の「悪夢」が、舞台を中国に変えて再び甦ろうとしているのである。

中国国家税務総局で国際課税部門を統括する夏光宇・国際税務司反避税処副処長は今年3月、東京で開かれた税務の専門家らとの会合に出席し「今後、移転価格調査を積極的に推進する。製造業だけでなく、これからは百貨店やホテル、サービス業など他業種にも広げ、無形資産取引についても強化する」と宣言している。

中国当局は、今や幅広い業種で日本の本社との無形資産取引が盛んな日系企業をターゲットにしようとしているのだ。この無形資産とは、技術ノウハウやブランド使用料などを指す。無形資産をめぐる課税はつい最近まで、日本の国税当局の「十八番」だった。

たとえばホンダは2008年、中国の合弁企業が日本の本社に支払ったロイヤルティーが低すぎるとして、東京国税局に1400億円超の申告漏れを指摘されたと公表した。信越化学工業が同年に約110億円の追徴課税(なおほぼ全額が後に還付決定)をされたのも、米子会社から本社が得た技術料が少なすぎると判断された。

中国が今回の問題の対抗策にこの課税を執行する可能性は高いと私は思っている。杞憂に終わればよいのだが。
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