神無月五日) 石油の真実  

国際エネルギー機関(IEA)は9日、2010年の「世界エネルギー見通し」を発表し、現在のエネルギー政策を各国政府が継続した場合のシナリオとして 2035年の原油価格が1バレル243.8ドルに上昇すると予想した。田中伸男事務局長はエネルギーを巡る状況について「前例のない不確実さに直面している」と述べた。IEAの事務局長は日本人だが、今回の発表について日本のマスコミはほとんど取り上げていない。

その「見通し」は温暖化対策や省エネなど各国政府の政策の実現規模に対応して3つのシナリオを用意。各国政府が表明済みの温暖化対策を実行に移した場合の中心シナリオでは35年の価格は1バレル204.1ドルと予想した。思い切った温暖化対策が採用された場合のシナリオでは1バレル162.6ドルと予測している。

この半世紀は「安い石油の時代」と呼ばれる。現在の世界のシステムは輸送も動力源も電力も衣服も日用品も低価格の原油が供給されることを前提に出来ている。この前提が崩れる可能性が高いと指摘するのが、今日のIEAの報告書である。

中国も含めて世界中が地球温暖化を避けるために化石燃料の利用を大きく制限し、原油需要は今と変わらないとする、現実とは異なる夢のようなシナリオでも25年後の原油価格は現在の2倍になるとみている。たぶんこうなるだろうなというシナリオでは4倍になる。

何が問題かといえば、国際エネルギー機関の専門家が世界中の油田を見て回った結果、巨大に限らず多くの油田の採掘が進み、採掘量が経年で大きく減少していることである。IEAの今回の調査結果は、現在日量約7千万バレル産出している現在稼動中の油田は2035年には2000万バレル以下に、つまり5000万バレル減るとした。新規油田の開発は進むが、どれも小粒で高コストのものばかりしかない。

一方で、新興国の一人当たり石油利用量は先進国の何倍も少ないから、新興国が経済成長を犠牲にしてまで利用自粛はしないとなっている。これに、「CO2排出で地球が温暖化している」という研究報告は、データの捏造で誤りだったと分かってしまった。こんなかでコストをかけてCO2削減をするはずも無い。ニュースでは「原油価格が高騰する」「中国が世界のエネルギー需要をけん引」となっているが、IEAの主旨は「ピークオイルになりました」だ。

20世紀の多くの戦争の原因が原油を巡る争いということを考えれば、今日のニュースのインパクトは、世界中の人にとって大きなものになる。
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