(長月壱拾六日) 国勢調査騒動  

もう旧聞になるが、今月10日に国勢調査の調査票回収が終了した。個人情報保護法が施行され、やたらとプライバシー意識が浸透あるいは暴走しているので、この国勢調査の現場ではトラブルがあちこちで起こる必然性が増していた。住所や氏名ばかりでなく、色々と事細く書かなければいけないため、うんざりした人も多かったのではないだろうか。調査票を騙し取ったりして、個人情報を売買する輩をマスコミが大々的に取り上げたが、ごく一部の不届き者のためにあたかも制度そのものが時代にそぐわなくなったと言い募るのは、余りに早計である。

しかし、馬鹿はどこでもいるし、なにをやってもいるものだ。数千万世帯で滞りなく実施されているものを否定することは近代国家とはいえない。先頃の地震で数万人の犠牲者を出したと思われるパキスタンでは、最後まで正確な被災者の数を把握できないだろうし、中国やインドに至っては自国の正確な国民数を億単位でも把握できていない。一方、唯一の超大国といわれるアメリカでもハリケーンでの死者はいまだに正確な数字は発表されていない。

何事も実態を把握しなければ改善はできない。反対に放置や改悪は簡単にできる。まあ、実態を把握しても改善を実施できない現在の行政に問題はあるが、実態を知らなければ何もできないのだ。ネット社会ということで自己申告を主張する人もいるが、これでは正確さを担保できない。調査員というハードルというか多少のストレスがあるからこそ、正確さが保証されているのである。
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