(長月弐日)サイエンス・サイトーク  サイエンス

TBS系ラジオでプロ野球が終わると放送されていた「サイエンス・サイトーク」は今年12年目を迎えようとしていた。インタビュアーはあの日垣隆だが、今年で中止の憂き目になるという。

原因は日垣氏にいうところのTBSの不正発覚によるお互いの不信かららしい。当人ではないので詳しいことはわからないが、例のtwitter上では両者のバトルが繰り返されているようだ。他人の喧嘩に口を挟むほど暇はないが、ラジオでは結構良識のある好番組と思っていたので、単純に残念である。

日垣氏が毎週コラムを書いている週刊現代に詳しく書かれているらしい。興味のある方は見られたし。
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(皐月四日) はやぶさ  サイエンス

2003年に打ち上げられた「はやぶさ」のミッションは5つあった。
1.イオンエンジンを使った惑星間飛行
2.光学補正を利用した自律誘導航法
3.小惑星からの試料採取
4.太陽電池エネルギーによる地球スイングバイ
5.再突入カプセルを使って地球へ試料を持ち帰る通常の宇宙開発
どれも世界初の試みだった。蓮膀ちゃん、わかってる?二番じゃないよ。ははは。

しかし今回はやぶさが賞賛されたのは、こればかりではない。人間が乗っていたアポロ13号とは違うだろうが、はやぶさは通信不能になって行方不明になったり、エンジン4つが動かなくなったが、何とか加工して一つのエンジンを動くようにしたり、ドラマの連続だったからだ。JAXAの担当者の執念というか、その能力に驚くばかりだ。わかる?蓮膀大臣。

しかしこんな偉業を達成しても、例の事業仕分けで予算を減らされてはたまりませんな。はやぶさのようなすごい計画でも全部で130億円である。このなかでいかに効率的に運航させるかと頭をひねったのが、先のイオンエンジン等の技術だったのだ。でももう終わったけれどスペースシャトルの日本人飛行士の搭乗代というか、NASAに支払ったのは単年で400億円だよ。これでは在日米軍の「思いやり予算」と変わらないではないか。予算配分をきっちりするのが政府の役目でしょうが、蓮膀くん。

でも昔からカネがなければ知恵を絞れとは、日本の伝統だったような気がするなあ。
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(師走廿壱日 立春) 暦の上では  サイエンス

今日は立春。TVでは「暦の上では春ですが寒いですよ」と気象予報士が云っている。ではどうやって立春の頃を決めたかというと誰もそんな話はしない。二四節気とよく言われるが、その中では天文学的な意味合いの二至二分(夏至、冬至、春分、秋分)が決まり、いわば四季の真ん中が決まったわけで、冬の真ん中である冬至と春の真ん中である春分の中間が「冬と春の境目」になるわけで、春の初めを意味する「春立つ」という言葉が生まれたわけである。同様に立夏、立秋、立冬もあるわけで、「四立」と呼ばれるのだ。

ただ夏至とか冬至といっても、最も暑い時期とか寒い時期ではなく、あくまで太陽の位置であるので、ずれるのは当たり前なのである。といっても二十四節気が遠く中国の殷の時代(完成はもっと後)に黄河の中流域で生まれたものなので、多少はそれが原因となっているのではないかとも思える。

殷の都のあとである殷墟にほど近い中国の太原と東京や京都の月別平均気温を理科年表から調べてみると、太原は東京とほぼ同じ緯度にあるが、大陸の中にある太原と海に囲まれた島国にある東京だから、やはり少し違うよね。
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(師走壱拾六日 望) ブルームーン  サイエンス

今月は元日に続いて今日も満月という、月に二度の満月があるという特異月である。月の満ち欠けは約29.5日なので、月の初めが満月であれば月の終わりに二度目の満月が巡ってくる可能性が出てくるわけだ。これをブルームーンと呼んでいる。

2010年までの過去20年間を見ると、8年でブルームーンがあった。このうち1991年と今年は1月と3月がブルームーンという1年で二度あるという特異年でもある。これは2月が28日と少ないからであるのはいうまでもない。

アノマリーを気にする方は1991年を振り返ることも必要ではないだろうか。
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(文月廿参日)  H2B打ち上げ  サイエンス

国際宇宙ステーション(ISS)へ補給物資を運ぶ日本初の無人宇宙船「HTV」を載せた国産ロケット「H2B」の1号機が、11日午前2時1分46秒、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。宇宙航空研究開発機構は約15分後、HTVが目的の軌道に入ったことを確認、打ち上げは成功した。積み荷のHTVは直径4.4メートル、全長約10メートルの円筒形で、荷物を含めた総重量は約16.5トン。宇宙機構が約480億円をかけて開発した。今回は、ISSに滞在している宇宙飛行士の食料や衣類などの日用品、飛行士あての手紙や写真のほか、日本の実験棟「きぼう」で使われる実験機器などが積み込まれている。

この打ち上げ成功が国際社会のパワーポリティクの上でどれほどの意味を持つか。今回NASAは局長が来たし自前のテレビでの中継までした。これは米スペースシャトルが2011年に退役すると、HTVはISSへ大型装置を運搬できる唯一の手段になるからだ。打ち上げの成否は国際的に注目されていたのである。

つまり、スペースシャトルの引退後に、あの宇宙ステーションへモノを運ぶ唯一の手段を持つのが日本であるということだ。道路や鉄道のことを考えてみるといい。「そこに行ける唯一の経路」を持つところがどれほど威張っているか。国際社会の中で、そのオンリーワンの方法を持っているということは、宇宙における発言力が高まるということだ。それはひいては外交の場における力にもつながっていくのである。

このHTVを上げるために日本はH2ロケットを大改造した。これまではH2「A」だったが今回はH2「B」だ。そのBの、今回はデビュー戦だった。AとBの違いはただのマイナーチェンジではない。エンジンの数を変えるという画期的な設計変更をやっている。H2Bロケットは国産主力機「H2A」を土台に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が共同開発した。最大の特徴は、第1段の主エンジンを2基に増やしたこと。これによりパワーを約4割増強し、普通の人工衛星の数倍の重さがあるHTVの打ち上げを可能にした。強力なエンジンを新たに開発するのではなく、すでに実用化したエンジンを2基搭載することでコストを抑え、設計から4年の短期間で完成にこぎつけた。エンジンはただ数を増やせばその数だけパワーが倍々になっていくというものではない。お互いの制御がいちばん難しい。

ご記憶にあると思うが、平成11年から日本のロケットは失敗を重ねてきた。思えば、あのころが日本の劣化の底ではなかったか。それ以降も辛い思いはしてきたが「なんとかしなくては」という気持ちが日本人の中に生まれてきて、今回の政権交代にもつながったように思う。H2ロケットも失敗から立ち上がって、そのあとは成功を重ねてきた。やはり現場にも雪辱の思いはあったようだ。

3代目のH2Bは、この2つの事故の防止策を取り入れており、国産大型機の集大成といえる。開発陣にとっては10年越しの雪辱戦だったのだ。そして今日見事に成功した。その感情を押し殺したような宇宙航空研究開発機構と三菱重工業の淡々としたプレスリリースがこれだ。

H-IIBロケット試験機による宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機の打上げ結果について

そして両者は発表の最後をこう結ぶ。
<今回のH-IIBロケット打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に深甚の謝意を表します。なお、ロケット打上げ時の天候は曇り、西の風(1.3m/s)、気温24.5℃でした。>

<なお>以下を付け加える時の、担当者の心に満ちた誇りが覗えるのではないか。
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(水無月壱拾壱日) 草の香り  サイエンス

日本人で初めてとなった宇宙での長期滞在を終え、スペースシャトル・エンデバーで無事帰還した若田光一さん(46)は、着陸から約4時間後に、早くも記者会見に出席した。約4カ月半の滞在を終え、地球に戻った第一印象を聞かれ、「ハッチが開くと地球の草の香りがシャトルの中に入ってきた。やさしく地球に迎えられたような感じがしました」と述べ、今の健康状態については「思ったよりいい」と笑顔で話した。

若田公一さんという人は、あらゆる意味でこれまでの日本人宇宙飛行士の概念を変えた人だった。これまでも優秀な方々が行かれたが、そこで世界に与えた印象はやはり「言われたことはちゃんとする」という謹厳実直な日本人とういことではなかったか。しかし、宇宙空間でのさまざまな言動も含めて若田さんは「前へ出ていく日本人」という新しい形を世界にアピールした。これまで宇宙長期滞在をした飛行士は、帰還直後の記者会見に出ることはほとんどなかった。若田さん自身が強く希望し、医師の許可を得て、会見に臨んだのである。

ところで、民主、自民両党のマニフェストに欠けているのは夢ではないか。確かにマニフェストという概念と夢ということはマッチしないのかもしれない。

しかし、キング牧師の言葉が今なお人々の中に生きているのは、あの演説の出だしのたたみかけるような言葉の力にほかならない。

「I still have a dream.」

それでもなお、私には夢がある、と彼は語り始めた。この時は「なお」だ。しかし、そのあと演説が続くにつれて「今日」が入るなど変容していく。しかし基本は「私には夢がある」だ。困難な時だからこそ「夢」を語らなくてはいけない。そして「夢」の前提として、今の不幸で悲惨で惨めな現状をしっかりと伝えなくてはいけない。

いまこの日本の非常時にマニフェストなりメッセージを出すならば、まずは国民を鼓舞する「夢」を語るべきではないのか。夢のないところに希望はない。例えばどちらかに「10年以内に日本人を月に送る」ということが入らないのが、この国の政党の想像力の限界なのだと私は思う。

人類が月面に着陸した時にアメリカ大統領はニクソンだった。しかし、人々の記憶に残っているのは「月面に人類を送る」と宣言したケネディの演説だ。1961年5月25日、ケネディ大統領はアメリカ連邦議会特別両院合同会議において、「10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」と宣言した。
<I believe that this nation should commit itself to achieving the goal, before this decade is out, of landing a man on the Moon and returning him safely to the Earth.>

この後段の「安全に地球に帰還させる」という精神がアポロ13号の奇跡につながったのではないか。人間の言葉は重いものである。
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(卯月四日 夕月) 豚インフルエンザ  サイエンス

WHOが豚インフルエンザに対する警戒水準をフェイズ4に引き上げた。台湾については偏向番組を垂れ流すNHKだが、こういう有事の対応はさすがだ。朝の7時のニュースでは冒頭から20分あまりにわたってこの出来事をとりあげ、ジュネーブ、メキシコ、アメリカ、そして日本国内と、さまざまな情報を提供してくれた。

WHOは渡航禁止や国境閉鎖までは勧告していない。本来こうした措置は今回の豚インフルエンザがどういう疾病なのかということを論拠にして発表されるべきなのだが、逆にWHOから出されるそうした情報は希薄である。むしろNHKが各地から拾ってきた生の情報がいろいろと示唆に富んでいた。

国際社会がどの程度の措置をとればいいかという判断の基準には二つあると思う。今回の豚インフルエンザウィルスが「どの程度の病原性があり」「どの程度の感染力があるか」である。本来ならば発火点であるメキシコから「どの程度の病気なのか」という情報がもっと入ってきていいはずだ。過去、さまざまな病気や事故の報道の時は、ベッドに横たわる病人の映像が流れ、その症状がどういう経緯をとるかがレポートされた。ところが、今回は今に至るまで「病人の映像」がほとんどない。もちろんリポーターが感染するおそれはあるが、それ以上にパニックを防ぐためならば、ガラス越しにでも「現状」を伝えた方がいいという判断はなかったのだろうか。

アメリカの高校で感染した生徒の、母親の声がようやく現地の新聞に出ていたようだが、もっと前から事態が進展していたメキシコで、具体的な患者に関する生の情報の出があまりに少ないのが気になる。病原性については海外の放送局であるNHKが、ようやくメキシコの国立感染病センターのような場所の医師に直接インタビューに成功していた。これで、やっと患者の具体的な症状がわかってきた。

それによると「感染者の一部が重病化する」「その場合は肺に炎症がひろがり、レントゲンで見ると真っ白な状態になる」ということであり、その「鍵」が何なのかがポイントではないか。必ずしも老人や小児といった、免疫力が弱い人々が重症化するのではないようなのだ。若年層から死者が多数出ていることも含めて、この軽症と重症を分けるものは何かということが、今後の拡大防止や、治療の上でのヒントになっていくかもしれない。
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