(師走廿参日) GDPに対する税収比較  経済

少し前のエコノミストを読んでいたら、思わぬ情報を眼にした。今日から国会では代表質問もあったようだし、こういう視点で質問する議員はいないのだろうか。

OECDのシンクタンクによると2009年の世界の主要国のGDPに対する税収額の平均的な割合は33.7%で、その前に調査した2007年の割合は35.4%立ったので若干低下しているとのことだ。しかし2008年はリーマンショックでGDPが大幅に低下したので絶対額の税収は大きく低下したとも指摘している。まあ、割合だけでなく、絶対額もしっかり把握しないといけないのは当たり前ですが。

さて世界で最もGDPに対する税収が高いのはどこだと思いますか。普通に考えると北欧あたりかと思われるが、デンマークの48.2%がトップである。その次がフランスの42%、ドイツの38%と続いている。ドイツは2007年に比べて欧州で唯一比率が上がっている。その後は欧州勢が続き、イギリス35%、アイルランド35%、スペイン31%、ギリシャ30%となっており、ドイツ国民にとっては自分たちより税負担が小さい国に対して、なぜ金を出すのか!と怒る気持ちも分かるよね。

これ以下では韓国が26%で、アメリカは24%である。ところで気づきましたか?我が日本の割合は?GDPが約500兆円に対して、税収は約40兆円なのでわずか8%なのである。世界で最高の社会保険と医療保険を維持する一方で、GDPに対する割合はトルコの18%の半分にも満たないというのでは、財政赤字が膨らむだけであると一概に断定するのはおかしいかもしれないが、やっぱり変でしょう。

アメリカ並みに24%に上げたら120兆円で余裕の黒字である。それで法人税の減税とかいうのだから、どこで税負担を免れているのか、きちんと説明すべき政治家が現れるべきであると思うのだけど、これっておかしいと思います?

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(霜月廿参日) 本当の覚悟  経済

昨日も書いたように日本の労働力人口は減る一方だが、社会で支えるべき高齢者人口は増え、今後の日本経済はつるべ落としのように落込むことが人口動態から明確となっている。経済成長とは、労働力の伸びと投下資本の伸びと生産性の向上の3項目の掛け算から成り立つものである。

労働力人口減は、3要素の1つの労働力を減少させるし、高齢者増は貯蓄を取り崩して消費に回すことが増えることで、投下資本の減少をもたらすというあまり指摘されないが(よく云うじゃないですか、どんどん使って消費を増やそうって!)リスクを生じることになる。日本企業が手持ち現金で国内投資をしてくれれば良いが、上期に海外直接投資に1.5兆円払っており、年3兆円の流出で投下資本は外に向かっているのが現状だ。

欧米や新興国では、つまり日本以外では乏しい国内投資を増やし、雇用を増やし、経済を活気付けるために外国企業による対内直接投資を増やそうと躍起になってきた。外資系企業による雇用、資本の拡充を進めてきたのだ。例えば、アメリカは1980年代に日本や韓国からの自動車工場進出を促したし、国有企業ばかりであったフランスの市場に対して、政府が競争力増加のために外資を誘致してきた。この結果、外資系企業が製造業の総固定資本形成を占める割合は、日本で2%程度しかないのに対し、英仏は3分の1に達する。製造業の雇用に占める外資系企業のシェアは、米が10%、英仏が27%もあるが、日本は1%にも満たない。

日本が長期不況なのは、上記の事態を放置し、政府や都道府県知事が、外資企業の誘致へのインセンティブを図り、積極的に海外営業するという本来しなければいけない仕事をサボってきたことも大きかったのだ。テレビに出まくって地元物産を売ることよりも、テレビに映らないかもしれないが、海外に営業行脚して企業誘致を図ることが本来の知事の仕事なのだ。中国は外資企業に国内企業よりも低い税率にしてまで積極誘致を図り十分な投資がなされる状況になって、税率を元に戻して、きちんと経済振興と雇用拡大と税収増をものにしている。

最近、対日のM&Aで中国が目立つようになってきたのはこういうことだ。日本国内に投下資本と雇用増をもたらしてくれるものなら、国籍など関係ない。有楽町の西武百貨店が閉店したと寂しい話題が出たが、有楽町銀座界隈で最も活気のあるのは何か。それは、来日する東アジア旅行客にブランド品を売る仏米企業の店だ。資本も客も外人だが、投下資本と雇用増を受けて景気が良くなり、周辺も潤っている。

生まれ育った日本が好きなら、日本の長く続いた伝統が好きなら、今後も永く存在させたいなら、自らを変化させ、異質なものを受け入れるようにしなければならない。ただし安全保障は別だけどね。
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(霜月九日) 日本の経営者  経済

徹底した顧客志向、現地の事情に合わせたきめ細かいマーケティング。これこそが日本企業の得意技で、世界の市場から米欧製品を駆逐した。だが今や“世界一”のブランド力を誇る日本企業は泥臭い努力をしなくなり、お隣の韓国企業にお株を奪われた。経営者が現場を歩かず、負けていることさえ自覚していない。韓国が強くなったというよりも、日本がやるべきことをちゃんとやらなくなっているのだ

デジタル化が急速に進んでいる現在は、電気製品に限らずコア部品が、プロセッサや汎用電子部品となり、製品間に差が付き辛くなっている。そこで「わが社の製品をなぜ顧客は買わなければいけないか」という動機をいかに渡してあげられるかどうかが、徹底的に重要になっている。

勝ち組筆頭のアップルだが、ハードウェアの性能は日本製品と変わらないが、アプリが充実していて便利であり、おしゃれという購買動機をきちんと提供している。

日本が3回目の失われた10年を歩もうとしているのも、競争力を失っているのも理由はたった1つだ。経営者が顧客への関心を失っているのだ。
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(霜月弐日) ヘリコプター・ベン  経済

5日夜に放映されたCBSの「60分」でインタビュアーが、「FRBが6,000億ドルの米国債買入政策を1カ月前に発表した当初の目標額よりも拡大する可能性があるか」とバーナンキ氏に聞いたところ、「確かにあり得る」と述べた。

これが、円高ドル安、米株価下落、米国債価格上昇、金銀原油価格の上昇をもたらした。

追加緩和で更に市場に投機資金がばら撒かれるのだから、米株価が上がりそうなものだが失業率の高止まりが長引き、政府の手を加えない自律した景気回復にはならないかもしれないとの同議長の認識が株価を下げた。先週発表されたアメリカの失業率は再上昇したもののわずかで10%に満たないのだが、失業者にカウントされない失業者である非労働力人口が継続して増えている。景気低迷による失業状態の長期化のため、求職を求める「失業者」から求職を諦めて「非労働力人口」へ移行した就業意欲喪失者が5月以降増えている。

同議長はこの現実を深刻に見ているようだ。この姿は今も変わらぬ日本の姿と重なる。かつて日本のこの状況を見て、同議長は「日本はお札を刷って、ヘリコプターでばら撒けばいいのに」と言ったので「ヘリコプター・ベン」のあだ名がついた。そして今、米ドル札を刷ってヘリコプターからはまたばら撒こうとしているというわけだ。街でお札を拾えるような状況になるのだから、金銀原油といった実物商品かつ国際的に流通する商品が上昇するのが自然な流れである。

結果はともあれ、無責任サラリーマン化して何もしない千石町や霞ヶ関の住民に比べれば、自分の信念を貫いている同議長は評価されるかもしれない。
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(霜月壱日 朔) 新興国投資  経済

中国やブラジル、インド、南アフリカ……。金融危機後も株価の回復が早く、成長力の高さが話題になり続けているのがこうした新興国だ。投資信託などでも新興国関連が大人気になっている。これまで株式投資の世界では「企業収益や株価の上昇は、長期的に見るとGDPの成長にリンクしている」と、当たり前のように指摘されてきた。だからこそ「高成長の持続=長期的な株高」という金融機関の宣伝文句が説得力を持つわけだ。しかしそれは本当に正しいのだろうか。

成功するには誰もが知ってそうな条件を満たすだけでは駄目であり、もう1つ別に隠れているツボを外さないことが必要なのだ。新興国投資も一緒。「経済成長率が高いから投資する。」のは最低条件に過ぎない。

アップルでもグーグルでもユニクロでも、高成長だからといって何時株を買っても儲かるわけではないのと同じ事。底値で買うとか、良い材料が出る前とか、「真の成功条件」も満たさなくては失敗することも数多い。建前上の成功条件と本音の成功条件の2つのツボを抑えることが必要である。

日本が新興国だった1960年代。投資リターンが高かった日本株は、実は喧伝されるソニーやホンダといった株ではなかった。もっと割安ながら、大きく業績を伸ばしているヨーカドー等の株だったのである。本音の成功条件を抑えているなら、選ぶのはそう難しいものではないが、どうでしょうかね。
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(神無月参拾日) ガラパゴス  経済

ガラパゴス症候群と云われた日本の携帯電話業界は本当に世界の流れから取り残されるのだろうか。今年6月にアップルが投入した「iPhone4」は瞬く間に最も人気のある携帯電話端末になった。これだけでも国内メーカーには屈辱的な話だが、10月最終週でiPhone4は首位の座が明け渡したが、そのイスに座ったのが国内メーカーではなく最大のライバルである韓国、サムソンの「GALAXY」なのだからもうアカン状態である。

研究開発投資を回収するには日本国内だけでは無理だと云うことを業界関係者は分かっていたと思うが、それでも出来なかった理由は何だろうか。でもこの疑問に対してそろそろ国内メーカーも変わってきたように見える。パナソニックは2012年からスマートファンの世界戦略に突入するようだし、シャープが発売したその名もガラパゴスは確かに革新的で3D画面を備えている。

あのガラパゴスでは、イグアナが本土からやってきた犬に追い詰められたが、今度は島のイグアナの逆襲が始まるのかも知れない。
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(神無月廿八日) 退職後のための投資アイデア  経済

米紙バロンズに退職後のための投資アイデアが掲載されている。

低金利に負けないインカム目的の投資というものは昔は単純なものだった。勤勉に働き、慎重に貯蓄と投資に励めば、退職の記念品を受け取り、デスクを片付けて同僚にお別れをした後は、定期預金と米国債が退職後の収入の相当な部分を提供してくれた。しかし、歴史的な低金利の下で、国債や定期預金はもはや収入の柱とはなり得ない。退職後のための新たな作戦が必要である。と

「定期預金金利は惨めなほど低いし、10年以下満期の米国債では、1.5%しか稼げず、50万ドル(4000万円強)の引退用資金では年約63万円の利息にしかならない。」

米国民で真面目に退職金の拠出をしてきた人たちは幸いだった。日本の労働者よりも低い3〜5百万円の年収でも、限度いっぱいDCやIRA等の年金制度に拠出をしてきていれば、最低でも5000万円程度の退職資産が築けた。80年以降2000年までの米国をはじめ世界の株式市場が堅調だったため、株式ファンド等の比率を高くしていれば誰でも簡単だった。

5000万円の資金を5〜7%の利回りの債券ファンドにスイッチすれば、最低でも250〜350万円の利息が毎年貰えた。日本の退職者には羨望されるが、これが米国退職者の姿だった。しかし、2008年以降、米国が日本の失われた20年の後追いを始め、ゼロ金利が退職者収入に大きなダメージを与えている。これまでの投資スタイルを変えなければいけなくなったのだ。日本の高齢者がしているように、利回りの高いジャンクボンドや新興国債券を好んで買うようになったのである。このバロンズの記事も高利回り債券を紹介して勧めている。要は、日本の投資家の後追いをし始めているのだ。

しかし日本と違うのは、日本は円高で海外債投資は元本を大きく毀損するが、米国はドル安で、高い利息プラス売却益からの配当も貰える。海外債券投資で利益を得られるのは、経常赤字国からの投資であって、日本やアジア諸国のような経常黒字国ではないということも事実なのだが。
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